あなたにかざすてのひらを

あさまる

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「そ、そっか。」
釈然としない。
しかし、彼女が納得し、解決したのなら良いかと思うさくらであった。


まだ彼女と話したいことがある。
しかし、間もなくしてチャイムが鳴ってしまい、この話は一時的に終了することとなった。

一時限目が終わった。
そそくさと次の授業の準備をすると、すぐにさくらの元へ駆け寄るかすみであった。

「えーっと、それでなんだっけ?思い出の確認だったっけ?」

「うん……そうだね。さっきはありがとう。」

「それで、どうしたの?」

「う、うーん……。」
どう説明しようか。
困るかすみ。

今まで幼馴染だと思っていた者達。
エルとゆかり。
彼女らとの思い出、記憶はある。
しかし、写真等の物理的な第三者からも確認することの出来るものが一つもない。
そんなことを説明しても良いのだろうか?

「まぁ、良いや。」

「あはは、ごめんね。」
申し訳ない。
素直に謝罪するかすみ。

追及しないのはありがたかった。
下手に突っ込まれても困るだけだ。

「それに、相談事なら私じゃなくても大丈夫だと思うし……。」

「え?」

「だって、エル様とゆかりんこって言う最強の幼馴染がいるでしょ?」

「うっ……。」
言葉に詰まる。
その最強の幼馴染とやらについて相談をしたいのだ。

「もしかして、二人についてのこと?」

「っ!?」
察しが良いな。
驚きを隠せないかすみ。

「え、そうなんだ……。やっぱり前に言ってたみたいにしんどいって思う時があるの?」

「え?」
前も言われた。
しかし、やはり見に覚えがない。

「あっ、やっぱ覚えてないんだっけ?」

「うん……それっていつ言ってたかって覚えてる?」

「いつって……具体的には覚えてないけど、確かエル様達のスキンシップがちょっと過激気味だった時かな。」

そういえば、そんなこともあった。
思い出した。
確かに少し面倒だと思っていたはずだ。
しかし、その後は不思議と距離を置きたいと思うことはなかった。

なぜだろう?
彼女自身にも分からない心変わりだ。
確かにその後、彼女らのスキンシップは少しだが収まって来ていた。
それでもやはり、一人の時間がほしいと思うのが普通なはずだ。

何かある。
カラクリがあるはずだ。

「そ、そうだったね、ありがとう。」

「わ、私で良かったら相談乗るからね?放課後でも良いから連絡頂戴ね?」
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