上 下
48 / 151
7

7ー7

しおりを挟む
「と、取り合えずこの話は置いておこうか……。」
ぜぇはぁぜぇはぁ。
酸気味なかすみが言う。

「え、えぇ。そうですね……。」
エルもまた、酸欠気味なようであった。

ごくり。
あることに気づいたエル。
極上の料理を目の当たりにしたように唾を飲む。

汗だくなかすみ。
必ずしも血液でなくとも良い。
彼女の何かを体内に入れることが出来れば良いのだ。

汗ならば、どうせ拭くだろう。
つまり、それは彼女にとって無駄なものだ。
ということは、舐めてしまっても良いのではないか?


エルの疲労はピークに達していた。


ゆっくりと立ち上がるエル。

「どうしたの?」
彼女の異変に気づいたかすみが言う。

「かすみさん……。」

「うん?」

「汗、たくさんかきましたね。」

「え?う、うん。外暑かったし……ごめん、もしかして臭いかな?」
おずおずと聞く。

「いえ、至高の香りで……いや、そういうことではなく、そのままにしていては風邪を引いてしまうかと思いますので……。」
一見全うなことを言うエル。

「そ、そうだね。ならそろそろ御暇して今日は早くお風呂に入ることにするよ。」

入浴する。
つまり、洗い流すということか。

「いけません!もったいない!」

「え、え?もったいない?」

「ご、ごほん。失礼しました。」

「そ、そっか。」

「私がタオルをお貸しします。それに、お風呂も貸します。それでどうですか?」

「え、いや、流石にそこまでしてもらうわけにはいかないよ。」

「大丈夫です!なにせ、私達は幼馴染ですから!」
ずいっ。
更に近づくエル。

こうなってしまっては聞く耳を持たない。
ここは素直に聞いておこう。
「うん、分かった。ならお言葉に甘えちゃおっかな。」

「はい!ではご案内しますねっ!」
満面の笑み。
一見邪な企みなど無縁なそれは、ただただ己の欲望に忠実になったものであった。


数分廊下を歩いた二人。
なかなか到着しない。

「あの、エルちゃん?」

「す、すみません、もう少しですので……。」

「そ、そっか……。」
そう言うエルの言葉を信じたい。
しかし、同じ場所をぐるぐると回っている気がしてならないかすみ。


「あっ!ありました!ここです!」
ぴょんぴょんと跳び跳ねるエル。

良かった。
見つかったのだな。
安堵するかすみ。

「ありがとう、じゃあお借りしよっかな。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

天を彩る

坂餅
恋愛
 ある日、高校二年生の尾鳥彩羽は同級生の、なぜかこの女子校で一学年に一人いる超絶美人の生徒である篠原天理が、自分の下の名前で呼び、見つけると嬉しそうに微笑むのか理由が分からなかった。  二人の関わるようになった、先月の文化祭を思い出すが理由は分からなかった。  理由が分からないのなら本人に直接聞けばいいではないかと、翌日彩羽は天理に直接聞いてみることにした。  天理になぜかと理由を聞くが、天理は顔を赤くして逃げてしまい聞くことできない。  それと同時に彩羽は、なぜ自分がそれ程までに天理にこだわるのか、自分の本心を自覚してしまう。  放課後、ようやく天理を捕まえることができた彩羽は理由を聞く。  そしてその理由を聞き、天理と自分の抱く感情が同じことを知る。  しかしその感情を知らない天理、その答えを見つけるまで彩羽は天理のそばにい続けることを約束するのだった。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

薄志と堅強

四国ユキ
恋愛
【完結まで毎日更新】出会いから付き合うまでの王道百合。タイトルは固いですが、イチャイチャする物語です。

タイツによる絶対領域

御厨カイト
恋愛
お昼前の授業も終わり昼休みになると、いつも私は彼女である澪と一緒に屋上でのんびり話をしながら過ごしていた。今日も私の膝の間に座り、嬉しそうに体を左右に揺らす澪とまったりと雑談をしていたのだが、その話の流れで澪の足を触る事に。しかし、そこで澪は足が弱いことが発覚し……

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...