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目を覚ます。
彼女の目線の先には見慣れない天井。
戸惑うかすみ。

「……うん?」
ここはどこだろう?
段々と意識がはっきりしてくると、その答えも思い出した。


それは、昨日の放課後のことだ。
エルの家に、ゆかりとともに遊びに来ていた。
その後、本来帰るべき時間が来ても、なぜか帰りたくないと思ったのだ。
いつもならば、そう思っても行動や言動には出ないはずだ。
しかし、自ら泊まることを希望したのだ。

「おかしいなぁ……。」
まるで、何かに操られたようだ。
今思うと、そんなことを感じるのであった。

無断外泊になれば、エルとその家族に迷惑、そして自身の家族に心配をかけてしまう。
その他、連絡はしておいた。
普段ならば良い答えは出ないだろう。
しかし、昨日は違った。
二つ返事。
すぐに許可がおりた。

何か様子がおかしかった気がした。
しかし、すぐに彼女らと遊ぶことに意識が行ってしまった。

気のせい。
それが、彼女の導き出したものであった。

「お母さん、大丈夫だったかな?」
ぽつり。
そう呟いた。

抑揚のない声。
明るさを微塵も感じないそれは、今にして思えばやはり、気のせいなどではない。

ふかふかなベッド。
寝ているだけで、それが高級品であると分かる。
そんなものから起き上がろうとする。

「うぅん……かすみ……いけません……私達は女同士……。でも、かすみがしたいのでしたら……あんっ。」

「……えへへ、かすみ大好き……。私はかすみのものだよ……。」

「……。」
これはどういうことだろう。

右を見ればエル。
そして、左を見ればゆかり。
所謂川の字というものだろう。
三人で寝ていたのだろう。

とにかく、連絡をしなければならない。
今度こそ、ゆっくりと起き上がる。

「あれ?」
妙な疲労感。

当たり前か。
慣れない場所、普段とは違うベッドで寝たのだ。
疲れがとれなくともおかしくない。

不快感。
身体中、べたべたしている。
寝汗だろうか。

シャワーでも浴びたい。
そう思うかすみ。
しかし、浴室の場所も分からないし、友人とはいえ、無断で人の家のシャワーを借りるのはよくないだろう。

「これは我慢しよっかな……。」
耐えられないほどではない。
寝汗のことは一旦置いておこう。

目覚まし時計。
可愛らしいちゃぶ台の上に置かれたそれは、間もなく起床しなければならない時間を示していた。
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