あなたにかざすてのひらを

あさまる

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「はい。」
ドキドキ。
なぜだろう。
緊張してしまうかすみ。

「これは所得税払った方が良いね。」

所得税?
収入がある人が払うあれか?
高校生で、まだアルバイトなどはしていないかすみ。
さくらの言っている意味を少し考えてしまった。


「えぇ!?私のお腹、そんなに裕福かな!?」
意味が分かり、ショックを受けるかすみ。

自身の変化はあまり分からないことがある。
少し太ったと思っていたが、第三者から見たら悲惨なことになっているのかもしれない。

「あはは!嘘嘘!冗談だよー。」
さくらがケタケタ笑う。

「も、もう……びっくりさせないでよ……。」

「とはいえ、ダイエットねぇ……。」
ふむ。
悩んでいるさくら。

「……。」
しかし、かすみには分かった。
彼女は今、真剣に悩んでいるのではない。
悩んでいる振りをしているだけなのだ。

間違いない。
この後彼女が話すものは、参考に出来ないものだ。

以前、風邪気味で喉が痛いことがあった。
その時に、さくらに助言を求めたところ、辛いものを食べれば良いと言ったのだ。
冷静に考えれば、そんなものは逆効果以外の何物でもない。

本当ならば、聞きたくはない。
しかし、さくらもまた、細身な体型だ。
その為、念の為に聞いたのだ。

「汗をかこう。」

「え、え?」

「ほら、痩せるには汗をかけば良いっていうじゃん。」

「……。」
身構えていたかすみ。
しかし、意外とまともなことを言う彼女に戸惑ってしまった。
つい、無言になってしまう。

「ど、どうしたの?」

「いや……意外とまともなことを言うなーって……。」

「失礼な!私をなんだと思ってるんだ!?」
プンスカ。
そんな擬音がつきそうな怒り方をするさくら。

「あはは……。」
質問に答えられないかすみであった。

「もう全く……。」
怒っているわけではない。
そんなものは、かすみにはすぐに分かった。

あくまでじゃれあいの一種だ。
本気ではない。
これをゆかりとエルが出来れば……。
何かある度に思ってしまう。

「そ、それで効率良く汗をかくにはどうすれば良いかな?やっぱり運動?」

「辛いものを食べよう。」

前言撤回。
やはり参考にならない。
さくらは、かすみに辛いものを食べさせたいだけであった。


時は進み、放課後。
かすみの元に、二人が来た。
どちらかが抜け駆けせず、二人揃ってだ。
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