はりぼてスケバン弐

あさまる

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ある日の休日~閑静な住宅街にて起こる惨劇~

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「はい!姐さんには感謝してもしきれないっす!」

「……もう、調子が良いんだから……。」
彼に対して呆れた言葉。
しかし、その表情は満更でもない。

「えへへ、それが長所っす!」

「……そ、そっか。」
苦笑いする華子。
最早、もうこれ以上は何も言うまい。

「いやー、無事留年しなくて大丈夫っぽくなりましたし、平和になったし、良いことって重なるっすねー。ここまで良いことずくめだとぱーっとお祝いでもしたいっすね。」

「お祝い……お祝いかぁ……。」
良いことを言う。
華子の率直な感想は、そんなものであった。
しかし、困ったこともあった。

全校生徒を呼ぶとなると、その会場が問題になるのだ。
そんな場所は限られる。

「やるなら俺らだけでやりたいっすね!」

「え?皆でやらないの?」
彼のまさかの言葉につい、そんなことを言ってしまう。

「……姐さんは、俺だけじゃ嫌なんっすか?」

「え、いや……。」
しどろもどろ。

「え!?嫌なんっすか!?」

「あ、いや、そういういや、じゃなくて……あーもうっ!良いよ、私達だけでやろう!」
仕方がない。
この前の勉強会の時に発生した丸雄への褒美もまだ残っている。
ここは彼の意見を尊重しよう。

「わーい!ありがとうっす、姐さん!」

「なら、せっかくだし鯉崎君も呼ぼう。」
手の平返し。
まるで先ほどまでのやりとりなど忘れたかのように華子が言ってのける。

恐らく、丸雄が言う俺達の意味を履き違えていたのだろう。
彼は、二人きりという意味で言った。
しかし、彼女はあくまで全生徒ではなく、少数の普段一緒にいるメンバーという意味と解釈したのだ。

「え、いや……俺ら二人でも良くないっすか?」

「そうかな?鯉崎君、色々頑張ってくれたし、私は呼びたいな。……駄目?」

「……っす。問題ないっす。」

「俺が何だって?」
二人の会話に割って入る者。
件の亥玄だ。

「あれ?鯉崎君、どうしたの?」

「……。」

ちょうど良いところに来てくれた。
そんなことを言わんばかりに嬉しそうな華子。
そして、ジトーっと不満げに見つめる丸雄。
彼を見る二人の視線は対照的なものであった。

「携帯を忘れた。それで、お前らはどうしたんだ?」

「な、何でもないっす!鯉崎には関係ないことっす!」

「私達でお祝いをしようと思ってるんだー。」
ニコニコ。
華子が嬉しそうに話す。
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