はりぼてスケバン弐

あさまる

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週末を終えて

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「……おい。」
引っかかってしまった。
それが、彼の鎌かけだと分かり睨みつける。

「あはは、鯉崎が怪我するなんてそのくらいだし、多分姐さん以外は分かってたっすよ?」

「……なら良い。お前も言うなよ。」

「言うわけないじゃないっすか。」

「……まぁ、もう終わったことだけどな。」

「え?それって……。」
期待。
この後、彼が言うてあろうことが、丸雄には想像が出来たのだ。

「あぁ。武蔵野と……あいつ、鼬原と同じ中学の奴……。」

「この前俺らで見た……えっと……白百合の橋川……さん?だったっすか?」

「あぁ。そいつと……瀧澤が首謀者だったんだがな……。」
少し言いづらそうに、その名前を上げる。

「それって確か……。」

「……俺と同じ中学の奴だ。」

「……。」

この流れで無関係な彼の名前を言うわけがない。
敢えて名前を上げたのだ。

この週末のどちらか。
恐らくは土曜日だろう。
彼からの襲撃を返り討ちにした、ということなのだろう。


「はぁー……。」
深いため息が、丸雄の口から漏れ出た。
しかし、それは失望の類のものではない。
むしろ、逆であった。

「……。」

「……やっとっすね。」

「……は?」

「姐さんへの反乱分子の大元叩いたってことは……。」

「……まぁ、終わりだろうな。」

二人はぼんやりと空を眺める。
雲一つない青が、そこに広がっていた。
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