はりぼてスケバン弐

あさまる

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週末を終えて

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「もうっ!どういたの!?」

「え?な、何がっすか?」

「それはこっちのセリフだ。」

二人が驚き、彼女を見る。
まるで華子が異常だと言わんばかりの視線だ。

「おかしいったらおかしいって!二人とも不気味なほど静かだし、何より鯉崎君があり得ないほどおかしいよ!」

「……なぜだ?」

「だってご飯少ないもん!」

「……ま、まぁ、確かに鯉崎にしては少ないっすけど……本来はこんなもんっすよ?」
彼女の主張に苦笑いする丸雄。

確かにその通りだ。
亥玄の食事量に慣れてしまっていた為、気づかなかったが、本来の量はこの程度のはずだ。

亥玄の弁当箱を確認。
確かに一人前だ。
しかし、だからこそおかしいのだ。
それが理解してもらえず、華子はもどかしかった。

丸雄のローテンション。
そして、少食な亥玄。
明らかにおかしい。


ぎこちなく、もやもやもする。
しかし、だからと言って、華子にはどうすることも出来ず、放課後になってしまった。

腹を括った。
今からまた、直接亥玄に異変を問いただす。
そう覚悟し、席を立ち上がる華子。

彼女は、亥玄の席へと向かおうとした。
しかし、そこには既に亥玄はいなかった。

それならば、と丸雄の方へ行こうとする。
しかし、彼もいなかった。

「もうっ!二人ともどこ行ったの!?」
つい心の声が出る。

「鯉崎とシバマルならもう帰ったんじゃない?」
クラスメイトの一人が彼女の一人言に反応した。

「え?そうなの?」

「うーん、多分ね?二人とも、すぐ出てったし……。」

「えー……。」
二人で示し合わせたように出て行ったのか。
それならば、追うのは止めた方が良いかもしれない。
華子はトボトボと一人で帰ることにした。


「それで?」

「……?」

一方その頃の亥玄と丸雄。
彼らはまだ下校しておらず、屋上に来ていた。

「お前が鼬原に捕まる前に来いって言ったんだろ。」

そう。
ここに彼を呼び出したのは丸雄で、そのことは華子に知られたくなかったのだ。

「あ、あぁ、そうっすね、そうっす。」

「おい、帰っても良いんだぞ?」

「ちょ、ちょっと!」

「嘘だ。……それで?」

「それ、同盟反対派の襲撃っすよね?」
先ほどの華子のように、自身の口元に指を当て、亥玄の怪我を指摘する。

「何だ、お前は知ってたのか。」

「ありゃ、当たりっすか。」
丸雄が嬉しそうに口角を上げる。
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