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先ほど彼に集中力について指摘してしまった。
その手前、彼女が手遊びや、他事をするわけにはいかない。
暇。
やることがまるでない。
端的にいえば、今の彼女はそうだった。
それが長時間続けばどうなるか。
答えは単純。
睡魔との戦いになるのだ。
何とか起きていなければならない。
机の下で自身の太ももをつねる華子。
そして、重くなる瞼を頑張ってキープする。
そう、上げるのではなくその場に維持するのが精一杯であったのだ。
しかし、それもいつか限界が来る。
それが来てしまった。
うとうと、舟を漕ぐように首が動く。
昨日もそうだが、最近の彼女はクラスメイトの前でも居眠りをすることに抵抗がなくなっている。
それが良いことか、悪いことなのか。
彼女自身にも分からなかった。
……コテン。
デジャブだろうか。
またしても睡魔に負けてしまう華子。
彼女は隣に座る丸雄の肩に、自身の頭を預けてしまった。
「……ね、姐さん……!?」
周りへの配慮。
そして、彼女がその声で驚かないようにとの気遣い。
その両方で、小声になる丸雄。
「……。」
「……お、おーい……っす……。」
「……。」
駄目だ。
穏やかな寝息が丸雄の耳に届いてしまった。
「……はぁ、しょうがないっすね……。」
優しく微笑む丸雄。
そして、彼はそのまま一人で自習するのであった。
「……うん?」
ゆっくりと目を開ける華子。
ぼやける景色。
だんだんとはっきりとして来た。
そして、今の自身がどのような状況なのかが分かってきた。
「……目、覚めたっすか?」
丸雄の優しい声。
寝起きの彼女にはぴったりであった。
「……ご、ごめん。」
反省。
小声で謝罪し、ゆっくりと頭を起こす。
「なんならもう少し寝てても良いっすよ?」
「いや、悪いし起きるよ。」
「……あはは、そうっすか。」
そう言う彼は、寂しそうで、残念がってもいた。
窓から差す日はもうオレンジ色になっており、閉館時間が間もなくであることを知らせていた。
その証拠に周囲に利用者はもうほとんど残っていない。
「うーん……。」
手を組み、背伸びしストレッチ。
ポキポキと、小気味良い音が節々で鳴る。
「目、ちゃんと覚めたっすか?」
「うん、ありがとう。何か昨日も同じくらいの時間に寝ちゃったんだよね。」
「疲れが出ちゃってるんじゃないっすか?」
「あはは、そうかも……。」
その手前、彼女が手遊びや、他事をするわけにはいかない。
暇。
やることがまるでない。
端的にいえば、今の彼女はそうだった。
それが長時間続けばどうなるか。
答えは単純。
睡魔との戦いになるのだ。
何とか起きていなければならない。
机の下で自身の太ももをつねる華子。
そして、重くなる瞼を頑張ってキープする。
そう、上げるのではなくその場に維持するのが精一杯であったのだ。
しかし、それもいつか限界が来る。
それが来てしまった。
うとうと、舟を漕ぐように首が動く。
昨日もそうだが、最近の彼女はクラスメイトの前でも居眠りをすることに抵抗がなくなっている。
それが良いことか、悪いことなのか。
彼女自身にも分からなかった。
……コテン。
デジャブだろうか。
またしても睡魔に負けてしまう華子。
彼女は隣に座る丸雄の肩に、自身の頭を預けてしまった。
「……ね、姐さん……!?」
周りへの配慮。
そして、彼女がその声で驚かないようにとの気遣い。
その両方で、小声になる丸雄。
「……。」
「……お、おーい……っす……。」
「……。」
駄目だ。
穏やかな寝息が丸雄の耳に届いてしまった。
「……はぁ、しょうがないっすね……。」
優しく微笑む丸雄。
そして、彼はそのまま一人で自習するのであった。
「……うん?」
ゆっくりと目を開ける華子。
ぼやける景色。
だんだんとはっきりとして来た。
そして、今の自身がどのような状況なのかが分かってきた。
「……目、覚めたっすか?」
丸雄の優しい声。
寝起きの彼女にはぴったりであった。
「……ご、ごめん。」
反省。
小声で謝罪し、ゆっくりと頭を起こす。
「なんならもう少し寝てても良いっすよ?」
「いや、悪いし起きるよ。」
「……あはは、そうっすか。」
そう言う彼は、寂しそうで、残念がってもいた。
窓から差す日はもうオレンジ色になっており、閉館時間が間もなくであることを知らせていた。
その証拠に周囲に利用者はもうほとんど残っていない。
「うーん……。」
手を組み、背伸びしストレッチ。
ポキポキと、小気味良い音が節々で鳴る。
「目、ちゃんと覚めたっすか?」
「うん、ありがとう。何か昨日も同じくらいの時間に寝ちゃったんだよね。」
「疲れが出ちゃってるんじゃないっすか?」
「あはは、そうかも……。」
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