はりぼてスケバン弐

あさまる

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「あ、あはは……ご、ごめんなさい……。」
小さく呟く。
恥ずかしさのあまり、一瞬にして赤くなる彼女の顔。


その場にいる皆の視線が二人へ向けられる。
一瞬の沈黙。
それを破ったのは丸雄だった。

「……そ、そういえば、腹減ったっすね、お、俺、今腹鳴っちゃったっすー!ひ、昼食べに行かないっすか?」
あわあわ。
微妙な空気に耐えきれなくなった丸雄が慌てて言う。

その音は彼女ではない。
自身から出たものだ。
バレバレの嘘を丸雄が言う。

「……あ、い、良いねっ!」
慌てながらも賛同の声を上げる。
今の彼女に、それを否定する理由はなかった。

「よしっ、じゃあ勉強終わりっ!昼食べに行くっす!」
今までのローテンションが一転。
太陽のような明るさ、いつも通りな丸雄。

「うん!」
彼の号令に、いそいそと片付け始める華子。

「ほら、姐さん早く早くっ!」
彼女を急かすよう、丸雄が言う。

何と手際の良いことだろうか。
既に彼の机の上には何もない。
これほど効率良く行動出来るのであれば、普段からそうしてほしいと華子が内心思ったのは言うべきではないだろう。

「え?ま、待って!」

そそくさと図書館を出ていく二人。
その姿はとても近所で有名な不良高校の生徒とは見えず、端からは仲の良い友人か、それ以上かと思われるようなものであった。


「それで、何食べに行くんっすか?」

「……そうだなぁ……藤柴君は何食べたいの?」

「うーん、ハンバーガーなんてどうっすか?」

「は、ハンバーガーか……。」
確かに普段なら悪くないだろう。
しかし、昨日食べた。
可能ならば避けたい。

「……なら、オムライスとかはどうっすか?」
彼女の意図を汲み取ったのだろう。
丸雄が違う選択肢を作ってみせた。

「お、おぉ!良いね!」
その振り幅に驚きながらもそれに食いついた華子。


近所にあるショッピングモール。
その中にあるオムライス専門店。

人気があるのだろう。
店外まで並んでいる客がいる。

「ここで良いっすか?」

「うん!」
文句ない。
むしろ良い。

きっと、多少の待ち時間はあるだろう。
しかし、一人で待つわけではない。
隣にいる丸雄と会話をすればあっという間だろう。

校内にいる時よりも踏み込んだ会話。
この場の雰囲気もあるが、個人の時間である休みの日にこうして出歩いているからだろう。
二人の間には笑いが絶えなかった。
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