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「と、とにかくっ!勉強するよ!じゃないと本当に留年しちゃうんだからね!?」
負けるわけにはいかない。
華子は、自身の価値観が正しいと信じ、折れずに引かない。
「嫌っす!面倒くさいっす!留年も嫌っす!俺は曲げないっすよ!?」
「あっ!今、本心出した!駄目だよ!もう……番長の命令!」
「くっ……い、いくら姐さんの言うことでもこればかりは聞けないっす!」
「もう!その謎の頑固さは何なの!?良いの!?単位いっぱい落とすと留年しちゃうんだよ!?」
「そんなの上等っすよ!」
「私のこと、先輩って呼ばなきゃいけなくなるんだよ?それでも良いの?」
「そ、それは……。」
ここだ。
ここがウィークポイントだ。
「それに鯉崎君のことも先輩って呼ばなきゃいけないんだよ?良いの?」
「……うっ……それは……。」
「良いの!?本当に良いの!?」
ズイッ。
一歩踏み出し駄目押し。
「……よ、良くは……ない……っすけど……。」
「ないんでしょ!?」
あと少し。
なぜここまで必死になっているのか。
華子自身、分からなかった。
「……わ、分かったっす……。」
「うん?」
にっこり微笑む華子。
あくまで丸雄自身に言わせようと考えた彼女は聞き返す。
「姐さんに……勉強、教えてもらうっす……。」
「はい、よく言えました。」
先ほどと同じく微笑む華子。
しかし、その笑みはその時とは違う意味が含まれていた。
こうして、丸雄に授業の復習をさせることを確約することに成功した。
しかし、その達成感から忘れていたが、彼に教えることとの大変さについてが抜け落ちていた。
そして、現在。
市の図書館に来ている華子と丸雄。
なぜどちらかの家ではなかったのか。
その答えは非常に単純なものであった。
互いの家。
さらにはその自室。
それぞれの部屋である為、漫画やゲーム等娯楽に関する物が多く存在する。
そんな場所で、二人が真面目に復習を出来るわけがない。
そんな中、白羽の矢が立ったのがここだ。
普段と違う環境なら、いつもよりは集中出来るのではないかと考えた華子。
こうして、図書館での二人の勉強会が始まったのだった。
時は戻り、現在。
図書館。
「まぁ、でも私にとっても悪くない時間かな……?」
ボソリ。
教科書とにらめっこしている丸雄を見ながら呟く華子。
「……え?姐さん?そ、それって……。」
負けるわけにはいかない。
華子は、自身の価値観が正しいと信じ、折れずに引かない。
「嫌っす!面倒くさいっす!留年も嫌っす!俺は曲げないっすよ!?」
「あっ!今、本心出した!駄目だよ!もう……番長の命令!」
「くっ……い、いくら姐さんの言うことでもこればかりは聞けないっす!」
「もう!その謎の頑固さは何なの!?良いの!?単位いっぱい落とすと留年しちゃうんだよ!?」
「そんなの上等っすよ!」
「私のこと、先輩って呼ばなきゃいけなくなるんだよ?それでも良いの?」
「そ、それは……。」
ここだ。
ここがウィークポイントだ。
「それに鯉崎君のことも先輩って呼ばなきゃいけないんだよ?良いの?」
「……うっ……それは……。」
「良いの!?本当に良いの!?」
ズイッ。
一歩踏み出し駄目押し。
「……よ、良くは……ない……っすけど……。」
「ないんでしょ!?」
あと少し。
なぜここまで必死になっているのか。
華子自身、分からなかった。
「……わ、分かったっす……。」
「うん?」
にっこり微笑む華子。
あくまで丸雄自身に言わせようと考えた彼女は聞き返す。
「姐さんに……勉強、教えてもらうっす……。」
「はい、よく言えました。」
先ほどと同じく微笑む華子。
しかし、その笑みはその時とは違う意味が含まれていた。
こうして、丸雄に授業の復習をさせることを確約することに成功した。
しかし、その達成感から忘れていたが、彼に教えることとの大変さについてが抜け落ちていた。
そして、現在。
市の図書館に来ている華子と丸雄。
なぜどちらかの家ではなかったのか。
その答えは非常に単純なものであった。
互いの家。
さらにはその自室。
それぞれの部屋である為、漫画やゲーム等娯楽に関する物が多く存在する。
そんな場所で、二人が真面目に復習を出来るわけがない。
そんな中、白羽の矢が立ったのがここだ。
普段と違う環境なら、いつもよりは集中出来るのではないかと考えた華子。
こうして、図書館での二人の勉強会が始まったのだった。
時は戻り、現在。
図書館。
「まぁ、でも私にとっても悪くない時間かな……?」
ボソリ。
教科書とにらめっこしている丸雄を見ながら呟く華子。
「……え?姐さん?そ、それって……。」
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