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しおりを挟む「だから、鼬原さん、何とか彼のモチベーションを上げてほしいんだよね!それで、あわよくば復習の手伝いもしてほしいんだ!」
「モチベーション。手伝い。……え?て、手伝い……!?何で!?」
突如不穏な単語が聞こえてきた。
慌てた華子が聞き返す。
「ありがとう、鼬原さん!単位を落とすのは一人でも少ない方が良いからね!頑張ってね!」
力押し。
もう華子には拒否権はないようだ。
「え、え、え?」
何かないか。
この状況を打開できる何か。
戸惑い、焦りながらも必死に思考を巡らせる華子。
「お願い、聞いてくれるんだよね?」
にっこり。
思惑通りで満足げに微笑み華子へ言葉を向ける。
「え、えっと……。」
駄目だ。
打つ手なし。
思考停止。
「ね?」
「……はい……。」
敗北。
黒龍高校の番長が、呆気なく負けてしまった。
こうして、華子は丸雄に授業の復習をすることになってしまった。
この時の彼女はまだ、それがどれほど大変なことか知る由もなかった。
その後。
俯き加減で廊下を歩く華子。
丸雄に復習させる。
どうすれば良いのだろうか。
グルグルと思案を巡らせる。
「姐さん、どうしたんっすか?何か考え事っすか?」
「え?あっ、藤柴君。」
いつの間にか教室まで戻っていた。
丸雄に話しかけられた華子はハッとする。
「なんか思い詰めてたようですけど、何かあったんっすか?」
「いや、そのー……。」
当の本人に相談など出来ない。
流石にそれほどにデリカシーのない行為をすることはない。
「やっぱり鯉崎だけだと不安っすか?」
「え?いや、え?」
突然亥玄の名前が上がり、意味が分からない。
「だって、土曜日のこと、心配してるんじゃないっすか?」
「いや……そういうわけじゃないけど……。」
「なら話してほしいっすよ!」
しびれを切らした丸雄が声を荒らげる。
まさか自身がその悩みの種だと思っていないのだろう。
純粋に心配そうな目をして彼女に訴えかけている。
これは駄目だ。
こんな目立つことをしてはいけない。
「どうした?」
「何の騒ぎだ?」
ぞろぞろ……。
二人の元へ生徒達が集り出す。
当然、彼も来る。
「……藤柴は何をキャンキャン吠えてるんだ?説明しろ、鼬原。」
亥玄までもその中に含まれてしまった。
騒がしいのは丸雄だ。
しかし、なぜ彼がうるさくしているのか。
「モチベーション。手伝い。……え?て、手伝い……!?何で!?」
突如不穏な単語が聞こえてきた。
慌てた華子が聞き返す。
「ありがとう、鼬原さん!単位を落とすのは一人でも少ない方が良いからね!頑張ってね!」
力押し。
もう華子には拒否権はないようだ。
「え、え、え?」
何かないか。
この状況を打開できる何か。
戸惑い、焦りながらも必死に思考を巡らせる華子。
「お願い、聞いてくれるんだよね?」
にっこり。
思惑通りで満足げに微笑み華子へ言葉を向ける。
「え、えっと……。」
駄目だ。
打つ手なし。
思考停止。
「ね?」
「……はい……。」
敗北。
黒龍高校の番長が、呆気なく負けてしまった。
こうして、華子は丸雄に授業の復習をすることになってしまった。
この時の彼女はまだ、それがどれほど大変なことか知る由もなかった。
その後。
俯き加減で廊下を歩く華子。
丸雄に復習させる。
どうすれば良いのだろうか。
グルグルと思案を巡らせる。
「姐さん、どうしたんっすか?何か考え事っすか?」
「え?あっ、藤柴君。」
いつの間にか教室まで戻っていた。
丸雄に話しかけられた華子はハッとする。
「なんか思い詰めてたようですけど、何かあったんっすか?」
「いや、そのー……。」
当の本人に相談など出来ない。
流石にそれほどにデリカシーのない行為をすることはない。
「やっぱり鯉崎だけだと不安っすか?」
「え?いや、え?」
突然亥玄の名前が上がり、意味が分からない。
「だって、土曜日のこと、心配してるんじゃないっすか?」
「いや……そういうわけじゃないけど……。」
「なら話してほしいっすよ!」
しびれを切らした丸雄が声を荒らげる。
まさか自身がその悩みの種だと思っていないのだろう。
純粋に心配そうな目をして彼女に訴えかけている。
これは駄目だ。
こんな目立つことをしてはいけない。
「どうした?」
「何の騒ぎだ?」
ぞろぞろ……。
二人の元へ生徒達が集り出す。
当然、彼も来る。
「……藤柴は何をキャンキャン吠えてるんだ?説明しろ、鼬原。」
亥玄までもその中に含まれてしまった。
騒がしいのは丸雄だ。
しかし、なぜ彼がうるさくしているのか。
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