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壇上で声を張り上げるのは丸雄。
その見た目通り、迫力のない怒りを華子にぶつけている。
「で、でも……。」
「デモもテロもないっすよ!姐さん一人で行かせるわけには行かないっすよ!」
「うん?」
「……と、いうわけで俺も行くっす。」
ふんす。
まるで、さも当たり前かのように丸雄が言う。
「うん?……え?何で?」
当然の疑問。
華子の口から出る。
「な、何でってそりゃあ……そのー……姐さん一人じゃ危ないからっすよ!護衛っすよ、護衛!」
その一言が良くなかった。
丸雄の言い分も一理ある。
しかし、彼がそれを言うのが駄目だったのだ。
心許ない。
護衛というにはあまりにも弱い丸雄。
不安でしかない。
皆の胸中に、心配の二文字。
そして、彼らの視線が一人の生徒へと向けられる。
「……どうした?」
皆から注目された生徒。
亥玄だ。
「いや、シバマルに護衛させるくらいなら……な?」
「お前しかいないだろ……。」
生徒達が口々に言う。
それほどに丸雄は頼りなかったようだ。
「……まぁ、やることもないし……構わないが……。」
チラリ。
華子を見て亥玄が言う。
「うん?鯉崎君が守ってくれるの?」
「……あぁ。当たり前だ。前にも言っただろ……お前を守るって。」
静かな肯定。
「……そ、そっか……。じゃ、じゃ秋姫に言っておくね。」
そして、今に至る。
約束通り、亥玄はやって来た。
護衛の為。
彼はそう言っていた。
その言葉のイメージが先行し、華子はてっきり飾りっ気のないジャージで来るものだと思っていた。
しかし、想定外に洒落た格好で来てしまった。
その結果、何が起きるか。
「あの二人格好良いね。」
「アイドルかな?」
「何?何かの撮影?」
ざわざわ。
周囲が騒がしくなる。
そして、二人を囲むように人集りが出来てきた。
「……鼬原?」
「うん?どうしたの、鯉崎君?」
突然名前を呼ばれた。
どうしたのだろうか。
「ここ、普段からこんなに人が集まるのか?」
「いや、そんなことない……と思うけど……。だからここを待ち合わせ場所にしたんだけどなー……お、おかしいなー……。」
苦笑いする華子。
彼女には、その異変がどのような理由で起きているか、半分分かっていた。
「……そうか。では、今日は何かイベントでもやるんだろうな。」
能天気に亥玄が言う。
その見た目通り、迫力のない怒りを華子にぶつけている。
「で、でも……。」
「デモもテロもないっすよ!姐さん一人で行かせるわけには行かないっすよ!」
「うん?」
「……と、いうわけで俺も行くっす。」
ふんす。
まるで、さも当たり前かのように丸雄が言う。
「うん?……え?何で?」
当然の疑問。
華子の口から出る。
「な、何でってそりゃあ……そのー……姐さん一人じゃ危ないからっすよ!護衛っすよ、護衛!」
その一言が良くなかった。
丸雄の言い分も一理ある。
しかし、彼がそれを言うのが駄目だったのだ。
心許ない。
護衛というにはあまりにも弱い丸雄。
不安でしかない。
皆の胸中に、心配の二文字。
そして、彼らの視線が一人の生徒へと向けられる。
「……どうした?」
皆から注目された生徒。
亥玄だ。
「いや、シバマルに護衛させるくらいなら……な?」
「お前しかいないだろ……。」
生徒達が口々に言う。
それほどに丸雄は頼りなかったようだ。
「……まぁ、やることもないし……構わないが……。」
チラリ。
華子を見て亥玄が言う。
「うん?鯉崎君が守ってくれるの?」
「……あぁ。当たり前だ。前にも言っただろ……お前を守るって。」
静かな肯定。
「……そ、そっか……。じゃ、じゃ秋姫に言っておくね。」
そして、今に至る。
約束通り、亥玄はやって来た。
護衛の為。
彼はそう言っていた。
その言葉のイメージが先行し、華子はてっきり飾りっ気のないジャージで来るものだと思っていた。
しかし、想定外に洒落た格好で来てしまった。
その結果、何が起きるか。
「あの二人格好良いね。」
「アイドルかな?」
「何?何かの撮影?」
ざわざわ。
周囲が騒がしくなる。
そして、二人を囲むように人集りが出来てきた。
「……鼬原?」
「うん?どうしたの、鯉崎君?」
突然名前を呼ばれた。
どうしたのだろうか。
「ここ、普段からこんなに人が集まるのか?」
「いや、そんなことない……と思うけど……。だからここを待ち合わせ場所にしたんだけどなー……お、おかしいなー……。」
苦笑いする華子。
彼女には、その異変がどのような理由で起きているか、半分分かっていた。
「……そうか。では、今日は何かイベントでもやるんだろうな。」
能天気に亥玄が言う。
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