はりぼてスケバン弐

あさまる

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その画面に映るのは、中高生に人気のとあるメッセージアプリだ。
そして、それを利用して送られた文章。
その内容は、彼女の頭を悩ませるようなものであった。

「……何々?……この前は本当にごめん……良かったら今度……。」
ひょっこり。
後ろから画面の文章を読み上げる。
丸雄であった。

「……っ!?びっくりした……というか勝手に見ないでよっ!」
サッと画面を自身の身体で隠す華子。
別に疚しいことはない。
しかし、覗き見をされては良い気分ではない。

「これどういうことっすか、姐さん!?」
ズイッ。
彼女に自身の顔を近づける丸雄。

無駄に整った愛らしい顔。
それが近づいて来る。

「ちょ、ちょいちょいちょい……!」
心臓に悪い。
そう思い、華子は彼の顔面を手の平で押し退けた。

「良かったら何なんっすか!?誰と会うつもりなんっすか!?」
手で抑えられながらも依然として言葉を止めることはない。
もごもごと話し続ける。

「な、何でもないからっ!大丈夫、大丈夫だから!」

「なら見せても問題ないじゃないっすか!?」

ズイズイ。
丸雄に力が入る。
つい負けそうになってしまう華子。

「そ、それはそうだけど……そうだけど……!藤柴君関係ないでしょ!?」

「そ、そうっすけど……そうっすけど……!」

「真似しないで!もうっ、良いでしょ!」


つばぜり合い。
しかし、それは呆気なく終わる。

「……あっ!?」
華子の手が滑り、携帯電話が宙を舞う。

スローモーション。
ゆっくりと携帯電話が地面に落ちて行くのが華子の瞳に映る。

もちろん、重力のはたらくこの地球において、そんなことはあり得ない。
あくまでそう見えるだけだ。


間もなく地面に落ちる。
このままでは確実に画面が割れてしまう。

「……何をじゃれてるんだ?」

「……こ、鯉崎君。」
驚き。
そして、安堵の気持ちを含んだ声が華子の口から出る。

地面に落ちる寸前。
そんなところで亥玄が彼女の携帯電話を捕まえた。

「……。」

「な、ナイスキャッチー……。えっと、それ……返してほしいんだけどなぁー……。」

「……。」

「あ、あはは……鯉崎君?聞こえてる?」
無言なままの彼へ呼び掛ける。

「……お前。」

「うん?」
良かった。
どうやらきちんと彼へ声が届いていたようだ。
安堵する華子。

「お前はこれ、行くのか?」
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