78 / 118
6
9
しおりを挟む
彼女の兄を倒すのに手を貸してもらう形になってしまう。
しかし、きっと許してくれるだろう。
「なーんか良からぬこと考えてそうな鼬原ちゃんは置いといてー……ほら、取り巻きお二人は言うことないのー?」
「と、取り巻きって……。」
彼の言葉に苦笑いしてしまう華子。
彼らとは、そんな関係性ではない。
大切な友人だ。
「ちょ、ちょっと……!」
「さっきも言ったが、俺が守るからお前は心配するな。」
流石にこれは反論せざるを得ない。
彼女が言葉を続けようとする。
しかし、それは亥玄の声に被せられて消えていった。
そんな中でのこれだ。
いつの間にか廊下は生徒達でいっぱいであった。
「俺、じゃなくて俺達っす!姐さん、俺も守るっすよ!」
丸雄が負けじと声を荒らげる。
「ふ、二人とも……!」
歓喜余って泣きそうになってしまう。
しかし、そんな彼女の涙腺が崩壊することはなかった。
次々とクラスメイト達が名乗りを上げたのだ。
皆、華子を守ると口々に宣言。
決して静かではなかった教室だが、ちょっとした騒ぎになってしまった。
周囲のクラスから騒ぎを聞きつけた野次馬が集まる。
無理もない。
元々は血気盛んな者達だ。
華子の活躍により、以前からは考えられないほど平和になってしまった。
それは良いことではあるが、刺激が足らずにいた。
「ちょ、ちょっと、皆……!?」
気がついたらこの大人数だ。
華子を守る。
皆が口々に言う。
最早収拾がつかない。
「な、なんだこれ!?どうなってるんだ!?」
「お、おいっ!なんだこれは!?」
近頃大人しくなっていた。
そのせいで、今回の騒ぎはより目立つものとなり、すぐさま教師が駆けつけて来たのだ。
その中には、華子の担任教師である飛鳥や、生徒指導の番仁朗もいた。
「おっとっとー、面倒事になる前に撤収撤収ー。」
生徒達をかき分けそそくさと立ち去る心司であった。
「ちょっ、尾谷先輩!?……こ、このっ!卑怯者ー!」
騒ぎを大きくするだけ大きくし、自身だけ逃げ出した。
そう思った華子が悲痛な叫びを上げた。
しかし、彼の背中はただただ無情にも小さくなっていった。
「鼬原、何があったんだ!?」
「鼬原っ!これはどういうことだっ!?まさかお前っ……!」
「え?え?え?いや、あの、その……。」
両者から詰め寄られる華子。
あわあわと慌てるだけしか出来ない。
しかし、きっと許してくれるだろう。
「なーんか良からぬこと考えてそうな鼬原ちゃんは置いといてー……ほら、取り巻きお二人は言うことないのー?」
「と、取り巻きって……。」
彼の言葉に苦笑いしてしまう華子。
彼らとは、そんな関係性ではない。
大切な友人だ。
「ちょ、ちょっと……!」
「さっきも言ったが、俺が守るからお前は心配するな。」
流石にこれは反論せざるを得ない。
彼女が言葉を続けようとする。
しかし、それは亥玄の声に被せられて消えていった。
そんな中でのこれだ。
いつの間にか廊下は生徒達でいっぱいであった。
「俺、じゃなくて俺達っす!姐さん、俺も守るっすよ!」
丸雄が負けじと声を荒らげる。
「ふ、二人とも……!」
歓喜余って泣きそうになってしまう。
しかし、そんな彼女の涙腺が崩壊することはなかった。
次々とクラスメイト達が名乗りを上げたのだ。
皆、華子を守ると口々に宣言。
決して静かではなかった教室だが、ちょっとした騒ぎになってしまった。
周囲のクラスから騒ぎを聞きつけた野次馬が集まる。
無理もない。
元々は血気盛んな者達だ。
華子の活躍により、以前からは考えられないほど平和になってしまった。
それは良いことではあるが、刺激が足らずにいた。
「ちょ、ちょっと、皆……!?」
気がついたらこの大人数だ。
華子を守る。
皆が口々に言う。
最早収拾がつかない。
「な、なんだこれ!?どうなってるんだ!?」
「お、おいっ!なんだこれは!?」
近頃大人しくなっていた。
そのせいで、今回の騒ぎはより目立つものとなり、すぐさま教師が駆けつけて来たのだ。
その中には、華子の担任教師である飛鳥や、生徒指導の番仁朗もいた。
「おっとっとー、面倒事になる前に撤収撤収ー。」
生徒達をかき分けそそくさと立ち去る心司であった。
「ちょっ、尾谷先輩!?……こ、このっ!卑怯者ー!」
騒ぎを大きくするだけ大きくし、自身だけ逃げ出した。
そう思った華子が悲痛な叫びを上げた。
しかし、彼の背中はただただ無情にも小さくなっていった。
「鼬原、何があったんだ!?」
「鼬原っ!これはどういうことだっ!?まさかお前っ……!」
「え?え?え?いや、あの、その……。」
両者から詰め寄られる華子。
あわあわと慌てるだけしか出来ない。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
素敵な洋服を作りたい
大羽月菜
青春
和田沙織は高校生。引っ込み思案な性格で、中学の時いじめにあって以来、友達を作らないまま時は過ぎた。高校二年のある日、テレビでファッションインフルエンサーを見て強いあこがれを抱き、そのインフルエンサーのイベントに参加する。次第にデザイナーになりたい夢を抱くように。服飾学科の大学へ行く事を決める。高三になり、友情、少ししたいじめ、進路、淡い恋心。様々な出来事に直面する。
*作品の中で筆者が12㎏のダイエットに成功した方法を、密かに公開します。
めくるめく季節に、君ともう一度
雨ノ川からもも
青春
生前、小さな悪事を積み重ねたまま死んでしまった瀬戸 卓也(せと たくや)は、地獄落ちを逃れるため、黒猫に転生する。
その自由さに歓喜したのもつかの間、空腹で行き倒れているところをひとりの少女に助けられ、そのまま飼われることに。
拾われて一ヶ月ほどが経った頃、ふたりにある不思議な出来事が起きて……?
君に出会って、大嫌いだった世界をちょっとだけ好きになれたんだ――
春夏秋冬に起こる奇跡 不器用なふたりが織りなす、甘く切ない青春物語
※他サイトにも掲載中。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。
花霞にたゆたう君に
冴月希衣@商業BL販売中
青春
【自己評価がとことん低い無表情眼鏡男子の初恋物語】
◆春まだき朝、ひとめ惚れした少女、白藤涼香を一途に想い続ける土岐奏人。もどかしくも熱い恋心の軌跡をお届けします。◆
風に舞う一片の花びら。魅せられて、追い求めて、焦げるほどに渇望する。
願うは、ただひとつ。君をこの手に閉じこめたい。
表紙絵:香咲まりさん
◆本文、画像の無断転載禁止◆
No reproduction or republication without written permission
【続編公開しました!『キミとふたり、ときはの恋。』高校生編です】
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる