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彼女らは、元々三花の取り巻きであった。
しかし、そんなことを気にしてなどいられない。
今の彼女に遠慮の二文字などはないのだ。
「お、おぉ、華ちゃん。もう知ってるかもしれないけど三花、自主退学したらしいよ。もう噂回ってる。」
「華子、襲撃されたけど返り討ちしたらしいじゃんね?やるじゃん。流石頭ー。」
無遠慮に話し出した華子に、同じように馴れ馴れしく言葉をかける。
どうやら今は彼女に対して敵意はないようだ。
各々彼女に話し出す。
三花が退学をしたこと。
そして、華子が彼女の奇襲を受けたが返り討ちしたことも知っている。
人の噂とは、意図も容易く広まるものだ。
「それ、本当なの!?あいつ……学校辞めたって……。」
「うーん、どうだろう。うちも聞いただけだしー……。」
「右に同じー。」
確証はない。
しかし、大半の生徒がそれを知っているようだ。
つまり、やはり本当なのか?
しかし、周知されたものとはいえ、所詮は噂。
信憑性の低いものだ。
確信がほしい。
噂に振り回されては対策が出来ない。
教師に直接聞くか?
しかし、素直に教えてくれるだろうか?
一応は個人情報の類だ。
はぐらかされて終わるという結末が見える。
ではどうする?
「安心しろ。」
グルグルと思考が渦巻く。
そんな彼女の耳に、不意に届く声。
「……え?」
華子が見上げる。
そこにいたのは亥玄であった。
先ほどの声は彼のものであったのだ。
「お前は俺が守る。」
華子を真っ直ぐに見て言う。
その瞳の中には彼の目の前にいる彼女がいる。
そこに写るそれは、小さくとも表情がちゃんと見えるものであった。
「……こ、鯉崎君……。」
呟くように、彼の名前を言う華子。
彼女の目にも、彼の姿が反射していた。
「なっ!?俺もっす!姐さん、俺も守るっすよ!?」
「……ふふふ、藤柴君もありがとう。でも昨日、二人とも私のこと守れなかったよねー?」
最初は優しく、そして後半に向かうにつれていたずらっぽく微笑む華子であった。
悩んでいたのは本当だ。
しかし、昨日の襲撃に反応出来たことが彼女の自信にもなった。
きっと上手くいく。
くよくよしていてもしょうがない。
「その噂、本当だよー。」
「……うわっ!びっくりした……お、尾谷先輩……どうも……。」
驚きつつ、挨拶をする華子。
そこにいたのは心司であった。
しかし、そんなことを気にしてなどいられない。
今の彼女に遠慮の二文字などはないのだ。
「お、おぉ、華ちゃん。もう知ってるかもしれないけど三花、自主退学したらしいよ。もう噂回ってる。」
「華子、襲撃されたけど返り討ちしたらしいじゃんね?やるじゃん。流石頭ー。」
無遠慮に話し出した華子に、同じように馴れ馴れしく言葉をかける。
どうやら今は彼女に対して敵意はないようだ。
各々彼女に話し出す。
三花が退学をしたこと。
そして、華子が彼女の奇襲を受けたが返り討ちしたことも知っている。
人の噂とは、意図も容易く広まるものだ。
「それ、本当なの!?あいつ……学校辞めたって……。」
「うーん、どうだろう。うちも聞いただけだしー……。」
「右に同じー。」
確証はない。
しかし、大半の生徒がそれを知っているようだ。
つまり、やはり本当なのか?
しかし、周知されたものとはいえ、所詮は噂。
信憑性の低いものだ。
確信がほしい。
噂に振り回されては対策が出来ない。
教師に直接聞くか?
しかし、素直に教えてくれるだろうか?
一応は個人情報の類だ。
はぐらかされて終わるという結末が見える。
ではどうする?
「安心しろ。」
グルグルと思考が渦巻く。
そんな彼女の耳に、不意に届く声。
「……え?」
華子が見上げる。
そこにいたのは亥玄であった。
先ほどの声は彼のものであったのだ。
「お前は俺が守る。」
華子を真っ直ぐに見て言う。
その瞳の中には彼の目の前にいる彼女がいる。
そこに写るそれは、小さくとも表情がちゃんと見えるものであった。
「……こ、鯉崎君……。」
呟くように、彼の名前を言う華子。
彼女の目にも、彼の姿が反射していた。
「なっ!?俺もっす!姐さん、俺も守るっすよ!?」
「……ふふふ、藤柴君もありがとう。でも昨日、二人とも私のこと守れなかったよねー?」
最初は優しく、そして後半に向かうにつれていたずらっぽく微笑む華子であった。
悩んでいたのは本当だ。
しかし、昨日の襲撃に反応出来たことが彼女の自信にもなった。
きっと上手くいく。
くよくよしていてもしょうがない。
「その噂、本当だよー。」
「……うわっ!びっくりした……お、尾谷先輩……どうも……。」
驚きつつ、挨拶をする華子。
そこにいたのは心司であった。
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