はりぼてスケバン弐

あさまる

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「そうそう!もっとその……可愛らしい理由なんだから!」

「……可愛らしい……?」
まるでそんなものは無縁だと言わんばかりに亥玄が聞き返す。

しまった。
自身の失言に、ヒヤリとする華子。
彼女の気持ちを安易に口外してはならない。

「なんすか、なんすか?教えてほしいっすよ、姐さん!」

「え、えっと……お、女子同士の秘密!君達男子には分からないやつ!分かった!?」

「……お、おう。」

「分かったっす……。」

良し。
誤魔化せた。
勢いによるゴリ押し。
しかし、この話題を終わらせることが出来た。

「しかし、お前も少しはやるようになったな。」

「……え?そんなに?いや、だから蝶華ちゃんに鍛えてもらった付け焼き刃だって。」
未だ、先ほどの動きを褒められているのだと思い、華子が訂正を入れる。

「そこじゃない、白辰の連中と交流してたんだな。」
亥玄が言う。

「そう!そこ、俺もびっくりしたっす!」
丸雄も彼に続き、感想を述べた。

「そうかな?……でも、同盟って、そういうものなんじゃないの?」

「……。」

「……。」

「え?ど、どうしたの?二人……?」
突然の沈黙。
華子目線では戸惑うのも無理はない。
しかし、それが彼らの視点では当然の反応であった。

黒龍高校と白辰高校。
両校の同盟。
それは、あくまで上辺だけのもの。
つまり、形だけである。

少なくとも、亥玄達はそう思っていた。
休戦状態。
しかし、隙を見せれば潰される。
きっと、他の生徒達もそう思っていることだろう。

それは華子を除いて、である。
彼女はその同盟を鵜呑みにし、蝶華と近づいた。
そして、そんな蝶華も徐々に懐柔されつつあった。

「変わるかも……。」

「え?」

「変わるかもっすよ、姐さんっ!これは良い兆しっす!黒龍の頭の姐さんが白辰に歩み寄る姿を見せれば、きっと良い方向に進んで行くこと間違いなしっすよ!」

「そ、そうかな……?」

「そうっす!そうっすよ!」

「……本当に……本当にそうかな!?」

「本当にそうっすよ!流石姐さんっす!」

「そ、そっか……うん!そうだよね!私、流石だよねっ!」

「はいっす!流石っす!」

「あはは!流石私ー!」

「はいっ!流石っすー!」

何度も同じやり取りをしながら徐々にテンションの上げていく二人。
しかし、亥玄は違った。

「……。」
無言で彼らのやり取りを見ている。
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