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現実逃避をしたい。
無責任に全てを投げ出してこの場から逃げ出したい。
しかし、そういうわけにもいかない。
のそのそと引き続き帰路に着く秋姫であった。
着いた。
着いてしまった。
鍵を取り出し玄関の扉を開ける秋姫。
誰もいない自宅内。
その中をのそのそと歩いて行く。
目的地は自室。
すぐに到着した。
制服のままベッドへ倒れ込む。
目を瞑る秋姫。
当然、寝れるわけがないし、それが目的ではない。
思考に集中する為だ。
グルグルと回る考え。
これ以上華子を裏切れるか?
そんなこと、出来ない。
それならば、三花の誘いを断るか?
そんなことをすればどんな報復が来るか分かったものではない。
それならば、どうする?
カチカチカチ……。
時計の針。
その音だけが彼女の耳に届く。
自問自答。
無駄な時間だけが過ぎていく。
きっと、一人で悩んでいても無意味なのだろう。
しかし、どうすることも出来ない。
これ以外に今自身がやれることが見つからない。
どうすべきか。
どうしたいか。
これまでの愚行。
そして、過去、ともに過ごした華子の姿。
それらが秋姫の脳裏を過る。
目を開く。
結局、答えは出なかった。
時計の短針はもう頂点からズルリと落ちていた。
その頃には当然、すっかり日は落ち、闇の中であった。
ため息。
時は進み、朝。
深く刻まれた隈。
結局あの後も一睡することも出来なかった秋姫。
机に突っ伏す。
彼女はこんな日でも登校してしまった。
休むという選択肢もあっただろう。
しかし、彼女にはそれを選ぶことは出来なかった。
変なところで真面目なのだ。
彼はどうしているだろう。
ふと、巳白の席へと視線を移す。
彼もまた、登校していた。
しかし、やはりというべきか彼女と同様に消沈している。
彼も同じような状態。
そんなものに対しての安堵か焦りか。
はたまたその両方か。
そんな気持ちから秋姫はため息が溢れた。
気持ちが変化する。
そうなれば、考えも変わっていく。
過去の記憶を手繰り寄せる。
彼女が中学生の頃の時のものだ。
つまり、華子と同じ教室で授業を受けていた頃のものでもある。
金魚のフンのようにいつでも後ろをついてきた華子。
そんな彼女とは、登下校も一緒であった。
もちろん、彼女が休めば秋姫は別の友人と登下校を共にしていた。
しかし、華子には秋姫しかいなかったのだ。
無責任に全てを投げ出してこの場から逃げ出したい。
しかし、そういうわけにもいかない。
のそのそと引き続き帰路に着く秋姫であった。
着いた。
着いてしまった。
鍵を取り出し玄関の扉を開ける秋姫。
誰もいない自宅内。
その中をのそのそと歩いて行く。
目的地は自室。
すぐに到着した。
制服のままベッドへ倒れ込む。
目を瞑る秋姫。
当然、寝れるわけがないし、それが目的ではない。
思考に集中する為だ。
グルグルと回る考え。
これ以上華子を裏切れるか?
そんなこと、出来ない。
それならば、三花の誘いを断るか?
そんなことをすればどんな報復が来るか分かったものではない。
それならば、どうする?
カチカチカチ……。
時計の針。
その音だけが彼女の耳に届く。
自問自答。
無駄な時間だけが過ぎていく。
きっと、一人で悩んでいても無意味なのだろう。
しかし、どうすることも出来ない。
これ以外に今自身がやれることが見つからない。
どうすべきか。
どうしたいか。
これまでの愚行。
そして、過去、ともに過ごした華子の姿。
それらが秋姫の脳裏を過る。
目を開く。
結局、答えは出なかった。
時計の短針はもう頂点からズルリと落ちていた。
その頃には当然、すっかり日は落ち、闇の中であった。
ため息。
時は進み、朝。
深く刻まれた隈。
結局あの後も一睡することも出来なかった秋姫。
机に突っ伏す。
彼女はこんな日でも登校してしまった。
休むという選択肢もあっただろう。
しかし、彼女にはそれを選ぶことは出来なかった。
変なところで真面目なのだ。
彼はどうしているだろう。
ふと、巳白の席へと視線を移す。
彼もまた、登校していた。
しかし、やはりというべきか彼女と同様に消沈している。
彼も同じような状態。
そんなものに対しての安堵か焦りか。
はたまたその両方か。
そんな気持ちから秋姫はため息が溢れた。
気持ちが変化する。
そうなれば、考えも変わっていく。
過去の記憶を手繰り寄せる。
彼女が中学生の頃の時のものだ。
つまり、華子と同じ教室で授業を受けていた頃のものでもある。
金魚のフンのようにいつでも後ろをついてきた華子。
そんな彼女とは、登下校も一緒であった。
もちろん、彼女が休めば秋姫は別の友人と登下校を共にしていた。
しかし、華子には秋姫しかいなかったのだ。
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