はりぼてスケバン弐

あさまる

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そんな大きなものに驚く華子。
滅多にない黒龍高校の生徒達が一致団結した瞬間であった。


「……無理をするな、か……。この程度を無理と思われていたのか……。」
ボソリ。
呟くのは亥玄であった。

黒龍高校。
その廊下にいた彼。
その視線の先には廊下を這いつくばる者達の姿があった。

襲撃に荷担した者達の大半。
彼らはすでに鎮圧されていた。

「す、凄ぇ……。」

「俺ら……全く出番なかった……。」

黒龍高校の生徒達がボソボソと呟く。
事実、彼らが参戦しようとした頃にはすでに亥玄が一頻り暴れた後であったのだ。

その後、数分間の残党狩り。
そして、鎮圧。
終わってみれば、なんとも呆気ないものであった。


「……と、いうわけで、無事解決っすね!姐さん、おめでとうっす!」

再び屋上。
ニコニコと喜びを隠さずに表現し、丸雄が言う。

「う、うん……。」
ぎこちない返事をする華子。

「ほら、皆への言葉を!さささ!どうぞっす!」
そう言って彼が携帯電話を差し出した。

「え?わ、私が……!?」
オロオロ。
ただただ戸惑う華子。

「当然っすよ!ささ、早く早くっ!」

「え、えっと……。」

皆への言葉。
そんなもの、何を言えば良いか分からない。

「ほらっ!番長の労いの言葉!それが一番嬉しいんっすからっ!」

労いの言葉が一番嬉しい。
本当か?
丸雄の言葉が信じられない華子。

半信半疑。
しかし、丸雄に退路を防がれている今、他の選択肢はないようだ。

「皆、お疲れ様。その……皆が無事で良かった……。が、頑張ってくれて……ありがとう……。」
彼女の精一杯の言葉であった。
もじもじとした何ともいじらしく、愛らしいもの。
そんなものに対して悶える黒龍高校生徒達であった。

「な、なるほど……これが噂に聞く萌えというやつっすね……!姐さん、恐ろしい子っ……!」
丸雄も例外でなかった。
昔の少女漫画よろしく白目になり、悶えながら呟いていたのだ。

「そ、そんな萌えって……。え?藤柴君のそれ、どんな表情?」
予想外に古い単語と表情。
そして、無意識に向けた態度に対して、そのようなことを言われてしまった。
そんな現状に、つい苦笑いしてしまう華子であった。


「……これは……どうやら援軍、一足遅かったようですね……。」

「……そうだな。」

黒龍高校の校門。
そこに数名の人影。
それは、白辰高校の生徒達であった。
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