はりぼてスケバン弐

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「あ、あの……。」

「……あぁ、楽しみだ。いや、忙しくなる、がせいかいかな……？」

「……瀧澤君。」

今までにはない不安感。
しかし確かに感じてしまうそれに対して秋姫は何もすることは出来なかった。


金のばら撒き。
今までよりも強化されたそれにより、頭数は増えた。

質より量。
どれほど劣悪だろうが構わない。
集められるだけ集める。
そんな言葉を体現したかのような状況。

無数の不良。
彼らを黒龍高校、白辰高校へ送り込むこととなった。

ちまちましていても仕方がない。
戦力の逐次投入は愚の骨頂。
やるのであれば、一度に徹底的にだ。

単純明快。
しかし、だからこそ効果的。
数日後に決行するそれに、ワクワクが隠せない巳白であった。

「……。」
不安しかない。
今まで全て失敗してきた。
今回も失敗するだろう。


数日後。
黒龍高校。
そして、白辰高校。

その両校の校門。
華子の活躍により、それらは以前よりも綺麗になっていた。
しかし、これからまた荒れることになるだろう。

ゾロゾロと集まる者達。
それは、今まで華子達を襲撃して来た者達とは少し顔ぶれの違う者達であった。

大声での耳を覆いたくなるような言葉の数々。
威嚇の意味を込めた、不快でしかないそれがあちこちで上げられている。

周囲の住民の目。
それは、華子達の活躍のお陰で暖かい物になっていた。
そんな彼らですら、快く思うことの出来ないような雰囲気が漂っている。

ひそひそ……。
少し距離を置き、話をする人々。
その話題は専らその柄の悪い輩のことであった。

華子のこれまでよ頑張り。
その積み上げて来たものがグラグラと崩れようとしている。

不良はやはり不良。
彼らは変わらない。
しかし、そんな中で一人が声を上げる。

「あの華子ちゃん達がこんな連中と繋がっているわけないだろう！きっと何か訳があるはずだ！」

ボランティアをしていくうち、華子は住民達とコミュニケーションを取るようになっていた。
言葉を発した者も、その中の一人だ。
彼女と、周囲にいた者達のことを知っているからこそ出たものだ。

本当にそうだろうか？
疑問に思う者もいる。
当たり前だ。
彼女の入学以前の黒龍高校を知っているからだ。

近所迷惑も憚らず、大声で騒ぐ。
毎日喧嘩に明け暮れていた。
そんな姿を見てきた。

覚えている。
だからこそ、疑わしいのだ。