はりぼてスケバン弐

あさまる

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「本当に使えない……っ!喧嘩しか能がないのに、その喧嘩で勝つことも出来ないのかっ!?」
巳白が周囲にいる者達へ向け、声を発する。

「……。」
しかし、彼の問いに答える者などおらず、皆やる気のない表情を浮かべているだけであった。

「……聞いてるのかっ!?」

「悪いけどさ、もうお前に着いてけないわ。」
一人が言う。

「は?何言って……?」

「割に合わないんだよ!鯉崎だけでも厄介なのに、尾谷まで絡んでる。こんな端金でやってられねぇって話。分かる?お坊ちゃん?」

「……あぁ、なんだ、そういうことか……。それならそうとはっきり言えよ。」
先ほどまでの激情が嘘だったかのように冷静な表情。
そして、口調。

「……っ!?」
能面のようなそれに、秋姫は恐怖した。
それは、彼女だけでなく、不良の世界で生きてきた彼らも同じであった。

「……ほら。」
財布を取り出す。
そして、そこから無造作に札束を掴むとそのまま乱雑に地面にばらまいた巳白。

「な、何を……。」
戸惑いを隠せない。
震える声。

それは、彼だけでなかった。
周囲にも伝染していく。
恐怖心。
それは、紛れもなくその類であった。

「足りないか?……ほら、これでどうだ?」
更に金をばらまく。

「お、お前……。」

「ほら、お前らも出せ。」
他の白百合高校の生徒達へそう促す巳白。

彼の言葉に皆従い、財布を開く。
そして、同じく札束をばらまいた。


カツン……カツン……。
室内に響く靴音。

「あーあ……変な時に来ちゃったなー……。」
心底残念だ。
そう言わんばかりの少女の声。
それは、この場にいるべきでない者の物であった。

「……へー、これは意外な人物が……。」
ニヤリ。
不適な笑みで彼女を迎える巳白。

「瀧澤君、この子は?」
一体誰だろうか。
秋姫に分かるわけがない。

「あぁ、彼女は黒龍高校の前番長の妹だ。」

「どうも、武蔵野三花でーす。」
何ともやる気のなさそうな声で自己紹介をする。

そう。
三花がこちらへ合流してしまったのだ。

「ど、どうも……。」
ぎこちない会釈で返す秋姫。

「……それで?その後ろの連中は?」
巳白が三花へ問う。

後ろの連中。
彼女の後ろにいる数名のことだ。

制服を着ていない。
恐らく黒龍高校や、白辰高校とは無関係の者達なのかもしれない。

「あぁ、まぁ、手土産ってやつかな?」

「手土産?」
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