はりぼてスケバン弐

あさまる

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「あ、え?か、唐揚げ……?」
ノンフィルターで脳内の疑問が彼女の口から出る。

「……あぁ、そうだが?それ以外のものに見えるか?」

「いや、見えないけど……。」

「ならなぜ聞いた?」

「……ご、ごめん。」
なぜここまで煽られなければならないのだろうか。
謝罪こそしたが、亥玄の言葉に少し苛立つ華子であった。

「……あいつら……。」
ボソリ。
呟く丸雄。
その視線の先には、先ほど華子を睨んでいた者達があった。

「……鼬原。」
彼女を呼ぶのは亥玄。

「……え?な、何?」
頼んだものではない。
しかし、先ほど亥玄に差し出された唐揚げを早速食べていた。
その為、意識がそちらへ向いていたのだ。
そして、呼び掛けへの反応が少し遅れてしまった。

「これからは校内では俺か尾谷……生徒会長といろ。校外であれば、白辰の頭か尾谷の妹でも良い。とにかく一人にはなるな。」

「え?え?え?」
何が何だか分からない。
困惑するしかない華子。

「……鯉崎、それって……。」
彼女は理解出来ていなかった。
しかし、丸雄には、彼のその言葉の意味が分かったようだ。

「……気分を害したのであれば謝る。しかし、撤回するつもりはない。」

「……。」

「ちょ、ちょっと二人とも……。」
明らかにピリピリしている。
そんな空気を察した華子が二人の間に割って入る。

「……分かってるっすよ……。分かってる……そのくらい……。」

「……。」

「……ふ、二人とも……?」

「だ、大丈夫っす。姐さん、大丈夫っすから。」
苦笑い。
どこか悔しそうな丸雄が彼女へ言う。

「そ、そっか……。……えっと、鯉崎君、理由を聞いても良い?」

「あいつら、何か企んでいた。今お前に何かあれば停戦協定だけでなく、黒校全体に響くからな。」

「何かあればって、そんな物騒な……。」

「黒校の頭になったってことはそういうことだ。自覚を持て。」

「……ごめん。」

「別に……謝ってほしいわけでは……。」

「ほ、ほら!二人ともっ!話がまとまったなら終わりっす!」
パン!
手を叩き、この話題を半ば強制的に終わらせる丸雄であった。


所変わり、白辰高校。
その空き教室の一つ。
そこに、辰美と蝶華、そして本来この場にいるはずのない者がいた。
心司だ。

「……恐らく、近々動くだろうな。」

「まぁ……そうだろうねー……。」

「……。」
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