33 / 118
3
1
しおりを挟む
昼休み。
黒龍高校。
その中にある空き教室。
その一室に彼女はいた。
「いやー、気まずくなっちゃったなーって思ってたけど元に戻って良かったよー。」
ニコニコ。
上機嫌な華子。
彼女の他にいる者達。
それは、丸雄と亥玄であった。
「まぁ、そういう時もあるっすよ。俺達、友達っすもん!」
「と、友達……うん、そうだねっ!」
丸雄の言葉が嬉しかった。
そのせいで、必要以上に声が大きくなってしまう華子であった。
「そうっす、そうっす!」
「……。」
「……鯉崎君?」
先ほどから無言な彼を心配する華子。
「……ん?あぁ、どうした?」
どこかのんびりとしている。
これほどに腑抜けた姿の彼は珍しい。
「大丈夫?」
「何がだ?」
「何がって……その……。」
具体的には言えない華子。
昼食もしっかり食べている。
それに、こうして登校もしている。
何も問題はない。
それならば何も心配することはないだろう。
そのはずだ。
しかし、華子にはそんな彼が気がかりであった。
「……それにしても……。」
「……?」
「平和だな……。」
「え?そうだね、良いことだよ。」
亥玄の呟きに、そう返答する華子。
「……そう……だな。」
「……?」
違和感。
彼の返事がどこか引っ掛かる華子。
不良同士の喧嘩。
そして、それが大きくなり、高校同士の争い。
そんなもの、ない方が良い。
そうに決まってる。
しかし、彼はどこか現状に満足していなさそうに見えてしまったのだ。
結局、彼に対して追及することは出来なかった。
それをしてしまえば、自身とは決定的に違う人種に思えてしまう気がしたのだ。
「……?」
違和感。
何かおかしい。
午後からの授業中。
華子は教室全体を見る。
欠席者が多いのはいつも通りだ。
しかし、これほど多かっただろうか?
授業中だ。
しかし、それに集中することの出来ない華子。
手持ち無沙汰。
彼女は、不登校になっている者達の共通点がないかと思案し始めた。
「……うん?」
あった。
一つ、あったのだ。
共通点。
それは、始業式の頃から変化していないということだ。
変化していない。
つまり、華子が番長になる前も、その後も彼女と交流を図ろうとしなかった者達なのだ。
それは偶然なのか。
それとも必然か。
今の華子には分からなかった。
時は過ぎ、放課後。
下校している華子達。
黒龍高校。
その中にある空き教室。
その一室に彼女はいた。
「いやー、気まずくなっちゃったなーって思ってたけど元に戻って良かったよー。」
ニコニコ。
上機嫌な華子。
彼女の他にいる者達。
それは、丸雄と亥玄であった。
「まぁ、そういう時もあるっすよ。俺達、友達っすもん!」
「と、友達……うん、そうだねっ!」
丸雄の言葉が嬉しかった。
そのせいで、必要以上に声が大きくなってしまう華子であった。
「そうっす、そうっす!」
「……。」
「……鯉崎君?」
先ほどから無言な彼を心配する華子。
「……ん?あぁ、どうした?」
どこかのんびりとしている。
これほどに腑抜けた姿の彼は珍しい。
「大丈夫?」
「何がだ?」
「何がって……その……。」
具体的には言えない華子。
昼食もしっかり食べている。
それに、こうして登校もしている。
何も問題はない。
それならば何も心配することはないだろう。
そのはずだ。
しかし、華子にはそんな彼が気がかりであった。
「……それにしても……。」
「……?」
「平和だな……。」
「え?そうだね、良いことだよ。」
亥玄の呟きに、そう返答する華子。
「……そう……だな。」
「……?」
違和感。
彼の返事がどこか引っ掛かる華子。
不良同士の喧嘩。
そして、それが大きくなり、高校同士の争い。
そんなもの、ない方が良い。
そうに決まってる。
しかし、彼はどこか現状に満足していなさそうに見えてしまったのだ。
結局、彼に対して追及することは出来なかった。
それをしてしまえば、自身とは決定的に違う人種に思えてしまう気がしたのだ。
「……?」
違和感。
何かおかしい。
午後からの授業中。
華子は教室全体を見る。
欠席者が多いのはいつも通りだ。
しかし、これほど多かっただろうか?
授業中だ。
しかし、それに集中することの出来ない華子。
手持ち無沙汰。
彼女は、不登校になっている者達の共通点がないかと思案し始めた。
「……うん?」
あった。
一つ、あったのだ。
共通点。
それは、始業式の頃から変化していないということだ。
変化していない。
つまり、華子が番長になる前も、その後も彼女と交流を図ろうとしなかった者達なのだ。
それは偶然なのか。
それとも必然か。
今の華子には分からなかった。
時は過ぎ、放課後。
下校している華子達。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

虚偽の罪で婚約破棄をされそうになったので、真正面から潰す
千葉シュウ
恋愛
王立学院の卒業式にて、突如第一王子ローラス・フェルグラントから婚約破棄を受けたティアラ・ローゼンブルグ。彼女は国家の存亡に関わるレベルの悪事を働いたとして、弾劾されそうになる。
しかし彼女はなぜだか妙に強気な態度で……?
貴族の令嬢にも関わらず次々と王子の私兵を薙ぎ倒していく彼女の正体とは一体。
ショートショートなのですぐ完結します。
花霞にたゆたう君に
冴月希衣@商業BL販売中
青春
【自己評価がとことん低い無表情眼鏡男子の初恋物語】
◆春まだき朝、ひとめ惚れした少女、白藤涼香を一途に想い続ける土岐奏人。もどかしくも熱い恋心の軌跡をお届けします。◆
風に舞う一片の花びら。魅せられて、追い求めて、焦げるほどに渇望する。
願うは、ただひとつ。君をこの手に閉じこめたい。
表紙絵:香咲まりさん
◆本文、画像の無断転載禁止◆
No reproduction or republication without written permission
【続編公開しました!『キミとふたり、ときはの恋。』高校生編です】
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
第一機動部隊
桑名 裕輝
歴史・時代
突如アメリカ軍陸上攻撃機によって帝都が壊滅的損害を受けた後に宣戦布告を受けた大日本帝国。
祖国のため、そして愛する者のため大日本帝国の精鋭である第一機動部隊が米国太平洋艦隊重要拠点グアムを叩く。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
めくるめく季節に、君ともう一度
雨ノ川からもも
青春
生前、小さな悪事を積み重ねたまま死んでしまった瀬戸 卓也(せと たくや)は、地獄落ちを逃れるため、黒猫に転生する。
その自由さに歓喜したのもつかの間、空腹で行き倒れているところをひとりの少女に助けられ、そのまま飼われることに。
拾われて一ヶ月ほどが経った頃、ふたりにある不思議な出来事が起きて……?
君に出会って、大嫌いだった世界をちょっとだけ好きになれたんだ――
春夏秋冬に起こる奇跡 不器用なふたりが織りなす、甘く切ない青春物語
※他サイトにも掲載中。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる