はりぼてスケバン弐

あさまる

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「……何しに来た?」

「……ど、どうもっす……。」

瞬時に亥玄と丸雄が華子の前に立つ。
いつでも対応出来るように、つまり臨戦態勢であった。

そこにいたのは、蝶華をはじめとした白辰高校の生徒達であった。
なぜだろうか。
華子には、彼らがここに来る理由が皆目検討もつかなかった。

「実はその……兄さ……そちらの生徒会長からこちらでゴミ拾いのボランティアをしていると聞いて……。」

なるほど。
彼は自身の妹であり、白辰高校の中心人物の一人である蝶華にも声をかけたのか。

「そうなんだ!もしかして、手伝ってくれるの?」

「まぁ、そういうことになる……かな。」
ぎこちない。
それでも、蝶華は華子の問いに、きちんとタメ口で返事をした。

恐らく彼女も心司に半ば脅されての行動なのだろう。
しかし、それでも華子は、彼女のその行動が嬉しかった。

「そっか!嬉しいな、ありがとう!」

「……いえ。」
正面からの感謝の言葉。
これほどに真っ直ぐなものは珍かったのだろう。
蝶華は少し恥ずかしくなり、そっぽを向いてしまうのだった。

白辰高校の生徒達。
極少数ながら、彼らも合流した。
以前ならあり得ない光景だ。


「……本当に、お前は凄いな。」
ボソリ。
華子を見て呟く亥玄。

「え?何?」
その一人言をあまりよく聞き取れなかった華子。
聞き返さなくとも良いものを、つい聞き返してしまう。

「いや、何でもない。ほら、頭がサボってたら示しがつかないぞ?」

「もう!分かってるよ!」

この日はいつもよりも掃除が捗った。
それは、頭数が増えたこともあるだろう。
しかし、それよりも皆がより真剣に取り組んでいたことが一番の理由であっただろう。


「おうおう、仲良しごっこかい……。」

「ずいぶん丸くなったもんだなぁ。」

華子達を見て呟く者達。
それは、苛立ちが含まれるものであった。


「橋川さん。」

「……?」

数日後。
所変わり、白百合高校。
次の授業が移動教室であった為、廊下を歩いていた秋姫。

そんな彼女へ向けられた声。
巳白のものだ。

彼は確か、クラスメイトだったはず。
名前は何だっただろう?
この時、彼に対する秋姫からの印象は、そんなものであった。

「放課後、少し良いかな?」

「……え?」
一体何なんだろうか。
まるで皆目見当もつかない。

「駄目かな?」

「別に……駄目ではないけど……。」
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