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存外、幸せとはこのようなことなのかもしれない。
柄にもなくそのようなことを彼女は考えていた。
「……。」
「……。」
彼女の両サイドを歩く丸雄と亥玄。
可愛らしく微笑む彼女が視界に入った。
入ってしまったのだ。
そんな彼女から、目が離せない。
なぜだろうか。
それは、彼らには分からなかった。
古くからある薬局の前を通る三人。
すると、昔からあるであろうマスコットキャラクター型の看板があった。
これは珍しい。
華子の家の付近では見ることは出来ないだろう。
すかさず携帯電話のカメラでそれを撮る華子。
真剣な表情。
しかし、やはり楽しげだ。
「……やっぱ、可愛いっすね……。」
「……あぁ、そう……だな。」
そんな彼女の姿に、無意識に二人の口からそのようなものが出てた。
それは、近くにいた彼女にも届く。
「そうだね、これ、可愛いね。ふふ、思わぬところで良いもの見れたね。」
上機嫌。
残念ながら、二人の言葉は、彼女の耳には湾曲して届いてしまったようだった。
「あ、あははー……そうっすね……。」
「そ、そうだな……。」
幸か不幸か。
聞かれてはいたが、誤解された。
「……?」
二人の微妙なリアクションに、首を傾げる華子であった。
その後も事ある毎に写真を撮り続けた華子。
そして、いつの間にか二人は彼女の隣から後ろを歩くことになっていた。
ぐうー……。
楽しげに動き回っていた華子。
そんな彼女の腹が元気良く鳴ってしまった。
「……あっ。」
ピタッ。
彼女が動きを止める。
そして、背後の二人へ振り返る。
赤面。
恥ずかしげな表情。
「……お、お昼食べるっすか。」
「そうだな。」
「あ、あはは……面目無い……。」
彼女の体内時計は正確なものであった。
確かに時間は昼時。
昼食を取るには調度良い。
喫茶店へ入る三人。
そこは、全国チェーン店でなく、個人で経営しているところだ。
店内は数名の客がいるが、落ち着いた雰囲気であった。
店員に案内され、メニューを見る。
さて、何を食べようか。
目を輝かせている華子。
そんな姿も二人の視線を奪ってしまう。
「全部美味しそうで迷っちゃうねー。」
ニコニコ。
嬉しそうに華子が口を開く。
「……そうっすね。」
「そうだな。」
上の空。
そんな雰囲気の二人が彼女へ返事をする。
「うーん……どうしよう……迷っちゃうなぁー……。」
柄にもなくそのようなことを彼女は考えていた。
「……。」
「……。」
彼女の両サイドを歩く丸雄と亥玄。
可愛らしく微笑む彼女が視界に入った。
入ってしまったのだ。
そんな彼女から、目が離せない。
なぜだろうか。
それは、彼らには分からなかった。
古くからある薬局の前を通る三人。
すると、昔からあるであろうマスコットキャラクター型の看板があった。
これは珍しい。
華子の家の付近では見ることは出来ないだろう。
すかさず携帯電話のカメラでそれを撮る華子。
真剣な表情。
しかし、やはり楽しげだ。
「……やっぱ、可愛いっすね……。」
「……あぁ、そう……だな。」
そんな彼女の姿に、無意識に二人の口からそのようなものが出てた。
それは、近くにいた彼女にも届く。
「そうだね、これ、可愛いね。ふふ、思わぬところで良いもの見れたね。」
上機嫌。
残念ながら、二人の言葉は、彼女の耳には湾曲して届いてしまったようだった。
「あ、あははー……そうっすね……。」
「そ、そうだな……。」
幸か不幸か。
聞かれてはいたが、誤解された。
「……?」
二人の微妙なリアクションに、首を傾げる華子であった。
その後も事ある毎に写真を撮り続けた華子。
そして、いつの間にか二人は彼女の隣から後ろを歩くことになっていた。
ぐうー……。
楽しげに動き回っていた華子。
そんな彼女の腹が元気良く鳴ってしまった。
「……あっ。」
ピタッ。
彼女が動きを止める。
そして、背後の二人へ振り返る。
赤面。
恥ずかしげな表情。
「……お、お昼食べるっすか。」
「そうだな。」
「あ、あはは……面目無い……。」
彼女の体内時計は正確なものであった。
確かに時間は昼時。
昼食を取るには調度良い。
喫茶店へ入る三人。
そこは、全国チェーン店でなく、個人で経営しているところだ。
店内は数名の客がいるが、落ち着いた雰囲気であった。
店員に案内され、メニューを見る。
さて、何を食べようか。
目を輝かせている華子。
そんな姿も二人の視線を奪ってしまう。
「全部美味しそうで迷っちゃうねー。」
ニコニコ。
嬉しそうに華子が口を開く。
「……そうっすね。」
「そうだな。」
上の空。
そんな雰囲気の二人が彼女へ返事をする。
「うーん……どうしよう……迷っちゃうなぁー……。」
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