はりぼてスケバン弐

あさまる

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すっとぼける二人。
しかし、彼らの視線は華子へ向けられたことのないような、鋭く冷たいものであった。

二人の目。
それは今、華子を捉えているわけではなかった。
周囲にいる黒龍高校の生徒達を警戒しながら見ていたのだ。

「そ、そうかな?」
華子の口から再度の質問。

「先ほどからそうだと言ってるだろ。」
呆れ気味な亥玄。

「そうっす、そうっす。さささ、行くっすよー!ジャンジャンゴミ拾いやるっすよー!」
強引。
捲し立てるように丸雄が言う。

明らかに二人ともいつもと様子が違う。
それは、彼女がそう思った時であった。

ガシッ!
ガシッ!
華子は左右から彼らにガッシリと捕まれる。
もはや確保と言っても過言ではない。

「……え!?あ、ちょっ!?ま、待って……あ、あーれー……。」
ズルズルズル……。
成す術なく引き摺られる華子。


「鼬原……連れてかれちまったな……。」

「あぁ……。」

その場に取り残された生徒達。
彼らは呆気に取られた表情で会話をしていた。

「あいつ……あんなに可愛かったっけ?」

「……なんだ、お前……今さらか?」

「あ?」

「俺はあいつの可愛らしさに気づいていたぞ?」

「……な、なら……告るか?」

「悪いことは言わん、命が惜しいなら止めておけ……。」

「そうだな……悪かった……。あの狂犬共を相手にするなんて命がいくつあっても足らん……。」

「あぁ、そうだな……。」

小さくなっていく華子。
そんな彼女を見ながら話していた。


「ふーん、そういうことかー……。」
ニヤニヤ。
何やら含みのある笑みで今までのやり取りを見ていた者。
おなじみ心司だ。
彼もまた、この場に来ていたのだ。

「……尾谷ー?何してるんだ?」
苦笑い。
飛鳥が彼に言う。

「おっ、橘先生、どうもー。」

「あ、あぁ。もう一度聞くが、何してるんだ?」
そう言う飛鳥の視線の先には心司。

「嫌だなー、うちの頭が今日ボランティアやるって言ってたんだから来ただけですよー。」

「……。」
もちろん、それだけではないだろう。
彼がそれだけの為にわざわざ来るわけがない。
きっと、何か裏があるのだろう。

だろう、なんて曖昧なものではない。
そうに違いない。

「まぁ……もちろん、それだけじゃないんですけどねー……。」

「そう……だろうな。」

「でも、橘先生が心配するようなことじゃないんで大丈夫ですよー。」
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