はりぼてスケバン弐

あさまる

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「うん、それは良いことなんだけどね……良いんだけど……それだけで良いのかなーって。」
ゆったりと話す華子。
そんな中でも彼女の脳内ではどうすべきか考えていた。

「……?」
彼女の言わんとしていることがいまいち理解出来ない。
丸雄は頭上にクエスチョンマークを浮かべている。

「何か行動をしたい、そういうことか?」
亥玄が言葉を発する。
彼の元にある弁当は、先ほどまで山盛りであったはずだ。
しかし、もう空になっていた。

「そう!何か私に出来ることないかな……?」
今度は亥玄の言葉が最適解であった。
二人に知恵を借りたい。
そう思い、華子が更に言葉を繋げる。

「出来ること……っすか……?」

「……例えば何だ?」

余りにも漠然としている。
そのせいか、彼らはいまいち自身の意見を言えないようだあった。

「例えば……かー……。うーん……。」
駄目だ。
何も思い付かない。

こんな時に一年生だけでなく、心司のような上級生がいれば心強い。
そんな考えが彼女の脳内に浮かぶ。


「なら、ゴミ拾いのボランティアでもやってみたらどうー?」
その言葉に三人が反応し、声のする方を見る。
心司だ。
彼がそこにいた。

「……わっ!?……ど、どうも、尾谷先輩。」
会釈する華子。
彼女に続き、二人も同じ動作をした。

「どうもー、何やら面白そうな空気が廊下まで漂ってたから来ちゃったよー。」
ニコニコ。
あくまで微笑。
そんな心司が言う。

「……凄いな、生徒会長ともなるとそんなことまで分かるのか。」

「いやいや、そんなわけないっすよ……。」
苦笑い。
呆れながら亥玄につっこむ丸雄であった。

「えっと……それでボランティアって……?」
華子がより詳細を聞こうとする。

「シンプルなことだよ。手っ取り早く黒高のイメージを変えたいんでしょ?」

「はい。」

「ならボランティアだよ。」
心司が再度言う。

「ボランティア……本当にそれで大丈夫なんですか?」

「大丈夫、大丈夫ー。試しにやってみなよー。」
あはは。
ヘラヘラと笑いながら言う。

にわかに信じがたい。
本当にそんなことで大丈夫なのだろうか?
心配になる華子。

「う、うーん……。分かりました、考えておきます。」
今の彼女には、このような返答が精一杯であった。

「じゃ、頼むね、番長ー。」

「……うっ、それ出来れば止めてほしいです。」
彼女の顔が少し歪む。
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