はりぼてスケバン弐

あさまる

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黒龍高校、白辰高校。
その両校の停戦協定が締結し、数日経過したある日。
その黒龍高校内での昼休み。

空き教室。
落ち着けるそこに、華子達はいた。

華子は可愛らしい手作りの弁当を食べている。
菓子パンを頬張る丸雄。
亥玄も、手作りの弁当という点では華子と一緒ではある。
しかし、その大きさが余りにも違う。

大きい。
彼の弁当箱と、その中身はあまりにも大きいものであった。

「……。」

無言な三人。
しかし、決して気まずいわけではない。
そんな静かな時が流れていた。

ゆっくりと、窓の外で雲が流れている。
表面上とはいえ、平和な日が続いている。

それは、対外的だけでない。
彼女が番長になってから、黒龍高校の生徒達は大人しくなりつつあった。

こんな日が続けば良い。
ぼんやりと思う華子。
きっと、そんな思いを抱いているのは彼女だけではないだろう。

周辺からの評判が悪かった黒龍高校。
しかし、それもいつかは過去のことにしたい。
それを実現するにはどうすれば良いか。
思案する華子。

殴り合いや、喧嘩をしない。
それだけでは駄目だ。

圧力、今までのイメージを覆さなければならない。
入学式の帰りを思い出す華子。
黒龍高校の生徒というだけで、電車内で必要以上に恐がられてしまった。

そんなものは打破しなけらばならない。
しかし、そうする為にはどうすべきか。
再び思考が元の場所へと戻ってしまった。


「うーん……。」
咀嚼しながらも悩む華子。
そんな彼女の口から声が出てしまった。

「姐さん?何か悩みっすか?」

「どうした?やはりそれだけでは足らないか?なら俺のを少し分けてやる、特別だぞ?」

二人が別々の反応をする。
この場合、丸雄の反応が正しいだろう。
亥玄のなど、論外だ。

「うん、実は少し考えてることがあるんだ。……鯉崎君、ありがたいけどもうお腹いっぱいだから大丈夫だよ。」

「そうか……。」
しょんぼり。
自身の好意が無駄になってしまったことに落ち込む亥玄。
しかし、弁当が減らないことに対しては内心安堵していた。

「それで?何を考えてるんっすか?」
少しでも彼女の力になりたい。
そんな思いから出た彼の言葉だ。

「うん。あの……最近、平和だなーって思って……。」

「……え?それって姐さん的には良いことじゃないっすか?」
彼女の予想外の言葉にキョトンとする丸雄。
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