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「え?違うの?」
「ち、違っ……そ、その……!」
蝶華の言葉が詰まる。
「違うの?違わないの?どっちなの?」
ニヤニヤ。
口角が上がってしまって仕方がない。
華子が蝶華を一方的に責めている。
「そ、それは……そのっ……。」
「そのっ……!?その、何?」
ズイッ。
華子が一歩近寄り、彼女へと圧をかける。
「す、好き……だけど……。」
これ以上にないほど赤い顔の蝶華。
瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
それほどに追い込まれていたのだ。
「……蝶華、どうした?」
良いのか悪いのか。
このタイミングで、外で待っていたはずの辰美達白辰高校の生徒達が戻って来てしまった。
「鼬原、大丈夫か?」
「姐さん、何かあったんっすか?」
ゾロゾロ……。
亥玄や丸雄達、黒龍高校の生徒達も戻って来てしまった。
「あ、あわわわわ……!」
パニック。
オロオロと目に見えて焦っている蝶華。
「だ、大丈夫だからっ!皆来ないで大丈夫だからっ!」
華子が皆を止める。
それでも彼らは止まらない。
「う、うぅ……。」
唸り声を上げる蝶華。
このままではまずい。
タラリ。
冷や汗が頬を伝う華子。
咄嗟に浮かぶ言い訳。
もうこれしかない。
「……じょ、女子だけの話っ!女子だけで話してるから皆は来ないでっ!」
華子自身、支離滅裂であると思った。
しかし、もうこれで押し切るしかない。
「……そうか……?」
「そういうことなら……。」
「りょ、了解っす。」
華子にとって、まさかの結果であった。
上手くいった。
彼らは引き返して行った。
少しの沈黙。
館内で聞こえたのは、華子の口から出た安堵のため息の音のみであった。
「え、えっと、自分から言っておいて何なんだけど……ここでこの話題広げるのは良くない……よね?」
「……。」
蝶華が無言で頷く。
その表情は疲れきっているように見える。
「その……ごめん。」
この事態は自身が招いてしまったことだ。
素直に謝罪する華子。
「いえ……。」
「今度、どこかゆっくり出来る場所で話さない?」
「……え?」
警戒の視線。
無理もない。
これほどに無遠慮に聞き出そうとしたのだ。
「あ、大丈夫、誰かに話すとかはしないから……。ほら、こういう生活してるから、女子の友達が出来て嬉しいなーって思ってさ……もしかしたら協力出来るかもしれないし……。」
「ち、違っ……そ、その……!」
蝶華の言葉が詰まる。
「違うの?違わないの?どっちなの?」
ニヤニヤ。
口角が上がってしまって仕方がない。
華子が蝶華を一方的に責めている。
「そ、それは……そのっ……。」
「そのっ……!?その、何?」
ズイッ。
華子が一歩近寄り、彼女へと圧をかける。
「す、好き……だけど……。」
これ以上にないほど赤い顔の蝶華。
瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
それほどに追い込まれていたのだ。
「……蝶華、どうした?」
良いのか悪いのか。
このタイミングで、外で待っていたはずの辰美達白辰高校の生徒達が戻って来てしまった。
「鼬原、大丈夫か?」
「姐さん、何かあったんっすか?」
ゾロゾロ……。
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「あ、あわわわわ……!」
パニック。
オロオロと目に見えて焦っている蝶華。
「だ、大丈夫だからっ!皆来ないで大丈夫だからっ!」
華子が皆を止める。
それでも彼らは止まらない。
「う、うぅ……。」
唸り声を上げる蝶華。
このままではまずい。
タラリ。
冷や汗が頬を伝う華子。
咄嗟に浮かぶ言い訳。
もうこれしかない。
「……じょ、女子だけの話っ!女子だけで話してるから皆は来ないでっ!」
華子自身、支離滅裂であると思った。
しかし、もうこれで押し切るしかない。
「……そうか……?」
「そういうことなら……。」
「りょ、了解っす。」
華子にとって、まさかの結果であった。
上手くいった。
彼らは引き返して行った。
少しの沈黙。
館内で聞こえたのは、華子の口から出た安堵のため息の音のみであった。
「え、えっと、自分から言っておいて何なんだけど……ここでこの話題広げるのは良くない……よね?」
「……。」
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その表情は疲れきっているように見える。
「その……ごめん。」
この事態は自身が招いてしまったことだ。
素直に謝罪する華子。
「いえ……。」
「今度、どこかゆっくり出来る場所で話さない?」
「……え?」
警戒の視線。
無理もない。
これほどに無遠慮に聞き出そうとしたのだ。
「あ、大丈夫、誰かに話すとかはしないから……。ほら、こういう生活してるから、女子の友達が出来て嬉しいなーって思ってさ……もしかしたら協力出来るかもしれないし……。」
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