甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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「……う、うーん。」
唸る翔子。

自室のベッドで横になっている。
そして、天井を見て悩んでいる。

ごろごろ……ごろごろ……。
ベッド上を転がる。
意味は特にない。

休日の朝。
いつもよりも少し早く起きてしまったのは、気がかりなことがあったからだろう。


「……特別な……存在……。」
特別な存在になりたい。
友人だと思っていた二人から、そんなことを言われた。
つまり、親友になりたいということだろうか?
それならば、大歓迎だ。
むしろ、そうなりたい。
しかし、どうやらそうではないらしい。


「どうすれば良いんだろう……?」
親友。
それ以上の存在があるのだろうか?
分からない。
きっと、このまま一人で考えていても無意味なのだろう。
それならどうすべきか?


「よしっ!」
勢いをつけ、起き上がる。
そして、部屋を出た。

翔子の目的地。
それは、梨華の部屋だ。

しっかり者の梨華のことだ。
きっと休日でも早く起きているだろう。
そう思い、部屋の扉をノックする。
すると、案の定、彼女の声がした。

「何ー?お母さん?」
廊下側の人物へ返事をする梨華。

「梨華ちゃん、私だよ、翔子。」

「え!?しょ、翔子ちゃん!?」
扉の外が翔子だと気づくと、梨華は大慌てになった。
声が大きくなり、語尾が必要以上に上がり、上擦っていた。

「だ、大丈夫?」
ドアノブに手をかける。

「だ、大丈夫!大丈夫だからちょっと待って!」
今までよりもやや大きめな声で制止する。
そして、ドタバタと部屋の中が騒がしくなった。

「ほ、本当に大丈夫?」
心配になる翔子。

「だ、大丈夫だから開けないで!開けたら双方損しかないから!」

「そ、損……?うん、分かった。待ってるね。」
何を言っているのだろう?
梨華の言葉を理解出来ない翔子。
しかし、開けてほしくないということだけは分かった。
それなら、彼女が嫌がるのであれば、止めよう。
ノブから手を離す。

「え、えっと……翔子ちゃんの部屋に行って良い?」

「え?い、良いけど……。」

「ありがとう、なら先に待ってて?」

「うん。」

本当にどうしたのだろう?
そんな疑問を抱きながらも、彼女に言われた通り引き返す翔子であった。


どれくらい待っただろう。
梨華を待つこと数分。
ベッドに腰かけている翔子。
そんな彼女の耳に届く扉を叩く音。
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