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「おーい、翔子さーん、早くしないと置いてっちゃうよー!?」
少し距離のある場所から彼女を呼ぶ真優の声。
「うん、今行くよー!……じゃ、じゃあ今度こそ私達も行こっか。」
「……。」
再度の翔子の提案に、美成実は無言で頷いた。
校舎裏。
人気のないジメジメとした場所だ。
内々で済ませたい話をするにはもってこいの場所だろう。
そこに四人は集まった。
「それで、なんでそんな物騒なことになったの?ほら、話し合いで解決しようよ、ね?」
未だに喧嘩をすると思い込んでいる卯佐子。
彼女があわあわと慌てながらそう言う。
物騒なこと。
きっと、掴み合いの喧嘩でもすると思っているのだろう。
「あはは、そこまで激しいものではないですよ。」
真優が訂正する。
笑みを浮かべている。
しかし、まさか彼女がこんな戯れ言を本当に信じてしまうとは思っていなかったので少し罪悪感があった。
「え?そうなの?」
「はい。それに、もしかしたらこれから起きるのは喧嘩ですらないかもしれないですし……。」
「……?」
彼女は一体何を言っているのだろう?
理解することの出来ない卯佐子。
彼女はただ、首を傾げるしか出来なかった。
「さて、弓浜さん?」
「っ!?……な、なに?」
美成実をジッと見つめる真優。
そんな彼女に、美成実はたじろいでしまう。
「翔子さんとなにがあったか、おおよそのことは知ってます。ずいぶんと好き勝手したそうですね。」
「違っ、あれは……。」
言い返したい。
しかし、それが出来なかった。
彼女自身、それを否定することが出来なかったのだ。
「え?海部江さんと?なにかあったの?」
全く事態を理解出来ていない卯佐子。
「あ、あはは……。」
一方翔子は、渦中の者でありながら、なぜか話に入れずに卯佐子に苦笑いするしか出来なかった。
「この高校に転校してきたのは……まぁ、偶然だったとして……。また翔子さんに付きまとって嫌な思いをさせるつもりですか?」
真優の声のトーンが、いつもよりも下がる。
それは、まるで彼女を威嚇しているようなものになっていた。
「そんなこと絶対にしない!!」
「ひっ!?」
突然大声を上げた美成実。
そんな彼女に驚き縮こまってしまう翔子であった。
「ちょ、落ち着いてよ。」
尋常ではない空気を察したのだろう。
卯佐子が美成実を宥める。
少し距離のある場所から彼女を呼ぶ真優の声。
「うん、今行くよー!……じゃ、じゃあ今度こそ私達も行こっか。」
「……。」
再度の翔子の提案に、美成実は無言で頷いた。
校舎裏。
人気のないジメジメとした場所だ。
内々で済ませたい話をするにはもってこいの場所だろう。
そこに四人は集まった。
「それで、なんでそんな物騒なことになったの?ほら、話し合いで解決しようよ、ね?」
未だに喧嘩をすると思い込んでいる卯佐子。
彼女があわあわと慌てながらそう言う。
物騒なこと。
きっと、掴み合いの喧嘩でもすると思っているのだろう。
「あはは、そこまで激しいものではないですよ。」
真優が訂正する。
笑みを浮かべている。
しかし、まさか彼女がこんな戯れ言を本当に信じてしまうとは思っていなかったので少し罪悪感があった。
「え?そうなの?」
「はい。それに、もしかしたらこれから起きるのは喧嘩ですらないかもしれないですし……。」
「……?」
彼女は一体何を言っているのだろう?
理解することの出来ない卯佐子。
彼女はただ、首を傾げるしか出来なかった。
「さて、弓浜さん?」
「っ!?……な、なに?」
美成実をジッと見つめる真優。
そんな彼女に、美成実はたじろいでしまう。
「翔子さんとなにがあったか、おおよそのことは知ってます。ずいぶんと好き勝手したそうですね。」
「違っ、あれは……。」
言い返したい。
しかし、それが出来なかった。
彼女自身、それを否定することが出来なかったのだ。
「え?海部江さんと?なにかあったの?」
全く事態を理解出来ていない卯佐子。
「あ、あはは……。」
一方翔子は、渦中の者でありながら、なぜか話に入れずに卯佐子に苦笑いするしか出来なかった。
「この高校に転校してきたのは……まぁ、偶然だったとして……。また翔子さんに付きまとって嫌な思いをさせるつもりですか?」
真優の声のトーンが、いつもよりも下がる。
それは、まるで彼女を威嚇しているようなものになっていた。
「そんなこと絶対にしない!!」
「ひっ!?」
突然大声を上げた美成実。
そんな彼女に驚き縮こまってしまう翔子であった。
「ちょ、落ち着いてよ。」
尋常ではない空気を察したのだろう。
卯佐子が美成実を宥める。
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