甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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「じ、実は……翔子さんの中学の時の話を聞いてしまったんです……。」

「……。」

無言の翔子。
どんな顔をしているのだろう。
彼女の顔を見るのが恐い。

拒絶されるかもしれない。
軽蔑されるかもしれない。
それでも仕方がない。
それだけのことをしたのだ。


「……真優ちゃんさ……。」
翔子が口を開いた。

「……。」

「最初に私を助けてくれた時のこと、覚えてる?」

「は、はい。」

最初に翔子を助けた時。
入学直後のことを言っているのだろう。

あれほどの印象深いものなのだ。
忘れるわけがない。

「凄く嬉しかったんだ……。それでね?それで……。」

「……。」

「あんな姿を見せても仲良くしてくれて……それも嬉しくて……。」

「翔子さん……。」

「ずっと悩んでいたことが馬鹿らしくなってね……。」

「悩んでいたこと……ですか?」

「うん。私、こんな見た目じゃん。……だから、内面がこんな弱虫で……そんな私を認めてくれて……凄く嬉しかったんだ……。」

あぁ、そうか。
ようやく分かった。
なぜ彼女に興味を持ったのか。
なぜ彼女を気にするようになったのか。
似ているからだ。

「……ふふ。」

「……ま、真優ちゃん?」

「奇遇ですね。」

「え?」

「私もです。私も嬉しいです。」

内面と外見。
その差に悩んでいたのは、自分だけではなかったのだ。

真逆な二人。
それでいて、似た者同士。
惹かれてしまうのも無理はない。

真優が翔子へ抱く感情。
それは、彼女が今まで抱いたことのないものであった。

似た者同士。
それは、双方に対して抱く感情も似たものであった。


「……。」
俯く翔子。
そんな彼女は、耳まで真っ赤であった。
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