甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

文字の大きさ
上 下
109 / 154
15

15ー6

しおりを挟む
「え?」
翔子の急な罵倒。
それに、目を見開き、驚きの表情を浮かべる真優。

「うん、コブとか出来てないかな?」
心配そうな翔子。

なんだ、そっちか。
良かった。
「い、いえ、多分大丈夫だと思います。」

「本当?よく見せて?」
ずいっ。
顔を近づける翔子。
そして、真優の額にかかる髪をあげた。

「っ!?だ、駄目です!顔面偏差値に殺されます!」
慣れてきたとはいえ、近くで見るとやはり、翔子のその顔面の良さにたじろいでしまう真優。
その眩しさに目を潰されかねない為、慌てて目を瞑った。

「え、な、なに、なに!?」
物騒な言葉に慌てて戻る翔子。


「し、失礼しました……。取り乱してしまいました。」

「い、いやいや。その、本当に大丈夫?おでこ冷やした方が良いんじゃないかな?」

「大丈夫ですよ、ほらっ!」
自ら髪を上げ、額を見せる真優。

「本当に……?」
やはり、心配そうに見ている。

本当に優しく、そして純粋なんだな。
翔子を見て、真優の心がチクリと痛んだ。


翔子の秘密。
中学生の頃に起きた事件。
彼女から聞けないのなら、こちらからは詮索しないようにしよう。
そう思っていた。
しかし、結果として梨華から聞いてしまったのだ。

「……ごめんなさい……。」

「……え?」
突然の謝罪に困惑する翔子。

「い、いえ、その……。」

「……大丈夫?」

「え?はい、コブは大丈夫だと思いますが……。」

「そうじゃなくて……。」

「え?」

「何か話したいことがあるんじゃないかな?」

あぁ、駄目だ。
大粒の涙が真優の頬を伝った。

真優の視界が歪む。
そこから見える翔子の慌てる姿が愛おしく見えた。


「落ち着いた……?」

「はい。ご迷惑おかけしました。」

時は進み、二人は木陰のベンチに来ていた。
キャッチボールをするような空気ではなくなっていた。

「……それで、どうしたの?何か思い詰めていたようだけど……。」

情けない。
初めは翔子を元気付けようとしていた。
それなのに、いつの間にか彼女に励まされようとしている。

「ま、まず謝らせて下さい……。」


恐い。
友人だと思っていた。
そして、彼女自身もそう思っていてくれたはずだ。
そんな裏では彼女の過去を詮索していたと思われてしまう。
それが恐いのだ。
それでも謝らなければならない。

「うん。」
真優をしっかり見ている翔子。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ハナノカオリ

桜庭かなめ
恋愛
 女子高に進学した坂井遥香は入学式当日、校舎の中で迷っているところをクラスメイトの原田絢に助けられ一目惚れをする。ただ、絢は「王子様」と称されるほどの人気者であり、彼女に恋をする生徒は数知れず。  そんな絢とまずはどうにか接したいと思った遥香は、絢に入学式の日に助けてくれたお礼のクッキーを渡す。絢が人気者であるため、遥香は2人きりの場で絢との交流を深めていく。そして、遥香は絢からの誘いで初めてのデートをすることに。  しかし、デートの直前、遥香の元に絢が「悪魔」であると告発する手紙と見知らぬ女の子の写真が届く。  絢が「悪魔」と称されてしまう理由は何なのか。写真の女の子とは誰か。そして、遥香の想いは成就するのか。  女子高に通う女の子達を中心に繰り広げられる青春ガールズラブストーリーシリーズ! 泣いたり。笑ったり。そして、恋をしたり。彼女達の物語をお楽しみください。  ※全話公開しました(2020.12.21)  ※Fragranceは本編で、Short Fragranceは短編です。Short Fragranceについては読まなくても本編を読むのに支障を来さないようにしています。  ※Fragrance 8-タビノカオリ-は『ルピナス』という作品の主要キャラクターが登場しております。  ※お気に入り登録や感想お待ちしています。

処理中です...