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「だ、だから……私に出来ること、何かありませんか?」
「ま、真優ちゃん?」
「だから、翔子さんには元気になってほしいんですよ!!」
真優の声。
それは、教室中だけでなく、廊下にまで響き渡るものであった。
「あー!」
「ふふ、真優ちゃん……。」
「あー!」
通学路。
帰路についていた二人。
真優にべったりとくっつく翔子。
嬉しそうな彼女とは真逆な真優。
そんな彼女は、教室での一件、そして、今の恥ずかしさ。
我慢出来ずに意味もなく声を出すだけとなっていた。
「嬉しいな、嬉しいな。」
語尾を弾ませ、ニコニコと笑顔を見せる翔子。
先ほどまでの落ち込み具合が嘘みたいであった。
「……まぁ、良いか。」
ポツリ。
彼女の姿をちらりと見て、そう呟く真優。
再び笑顔を見れた。
それだけで恥ずかしい思いをした価値はあった。
そう思う真優であった。
翔子が真優にやってほしいこと。
それは、放課後に遊ぶことだ。
「それで、どこに行くんですか?」
「……あっ。」
「……もしかして、どこに行くかは決めてなかったんですか?」
「……。」
こくん。
真優の言葉に無言で頷く翔子。
「そうですか……。」
さて、どうしたものだろう。
放課後、友達とどこかへ行くなど全く経験のない真優。
彼女もまた、どこへ行くか迷っていた。
卯佐子とカラオケに行ったことが脳裏を過る真優。
カラオケにするか?
駄目だ。
受付のやり方を覚えていない。
恐らく彼女も知らないだろう。
ちらり。
翔子を見る。
「……?」
真優の視線に気づく。
首をかしげていた。
あぁ、可愛いな。
……違う、そうではない。
「と、取り合えずどこか喫茶店にでも行きますか?」
「うん!」
真優の視界に入った全国チェーン店。
せっかくなら個性のある個人店の方が良いかもしれない。
……いや、駄目だ。
そんなギャンブルは出来ない。
無難が良い。
それが一番だ。
入ったことなどない。
しかし、真優には奥の手があった。
「すみません、ちょっと待って下さい。」
携帯電話を触る真優。
「うん。」
「……お待たせしました。ここにしましょう!」
「うん。」
入店する二人。
当たり前だが、放課後だということもあり、制服姿の学生が多い。
彼女らの通う瀬部高の制服を着ている者達も当然いた。
「お次でお待ちのお客様ー。」
店員が言う。
「ま、真優ちゃん?」
「だから、翔子さんには元気になってほしいんですよ!!」
真優の声。
それは、教室中だけでなく、廊下にまで響き渡るものであった。
「あー!」
「ふふ、真優ちゃん……。」
「あー!」
通学路。
帰路についていた二人。
真優にべったりとくっつく翔子。
嬉しそうな彼女とは真逆な真優。
そんな彼女は、教室での一件、そして、今の恥ずかしさ。
我慢出来ずに意味もなく声を出すだけとなっていた。
「嬉しいな、嬉しいな。」
語尾を弾ませ、ニコニコと笑顔を見せる翔子。
先ほどまでの落ち込み具合が嘘みたいであった。
「……まぁ、良いか。」
ポツリ。
彼女の姿をちらりと見て、そう呟く真優。
再び笑顔を見れた。
それだけで恥ずかしい思いをした価値はあった。
そう思う真優であった。
翔子が真優にやってほしいこと。
それは、放課後に遊ぶことだ。
「それで、どこに行くんですか?」
「……あっ。」
「……もしかして、どこに行くかは決めてなかったんですか?」
「……。」
こくん。
真優の言葉に無言で頷く翔子。
「そうですか……。」
さて、どうしたものだろう。
放課後、友達とどこかへ行くなど全く経験のない真優。
彼女もまた、どこへ行くか迷っていた。
卯佐子とカラオケに行ったことが脳裏を過る真優。
カラオケにするか?
駄目だ。
受付のやり方を覚えていない。
恐らく彼女も知らないだろう。
ちらり。
翔子を見る。
「……?」
真優の視線に気づく。
首をかしげていた。
あぁ、可愛いな。
……違う、そうではない。
「と、取り合えずどこか喫茶店にでも行きますか?」
「うん!」
真優の視界に入った全国チェーン店。
せっかくなら個性のある個人店の方が良いかもしれない。
……いや、駄目だ。
そんなギャンブルは出来ない。
無難が良い。
それが一番だ。
入ったことなどない。
しかし、真優には奥の手があった。
「すみません、ちょっと待って下さい。」
携帯電話を触る真優。
「うん。」
「……お待たせしました。ここにしましょう!」
「うん。」
入店する二人。
当たり前だが、放課後だということもあり、制服姿の学生が多い。
彼女らの通う瀬部高の制服を着ている者達も当然いた。
「お次でお待ちのお客様ー。」
店員が言う。
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