甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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時は進み、二年後。
現在。
卯佐子に会う為に廊下を歩いていた翔子と真優。

先ほど、急に真優に持ち上げられそうになった為、慌てていた翔子。
すっかり落ち着きを取り戻してしまっていた。

「……お、お昼皆で食べるの楽しみですね……。」

「……うん、そうだね。」
肯定。
しかし、とてもわくわくしている様子ではない翔子。

それについて考えていないのだろう。
理由は分かる。
しかし、真優はそれを解決する手段を持ち合わせていなかった。


空気が重い。
気まずい。
この状況を打開出来る良い案はないだろうか。
様々な考えを巡らせる真優。
しかし、どれもいまいちであった。


「すみません、お待たせしました。」
教室内に入る真優。

旧校舎。
その空き教室の一つ。
そこにはすでに卯佐子がいた。
席に座り、二人を待っていた。

真優の後ろから着いて来ていた翔子。
卯佐子から見ても元気がないのが分かる。

「ほ、ほら食べよう、食べよう。」
パンパン。
手を叩き、そう促す卯佐子。


初めて三人で昼食を食べている。
皆、楽しみにしていた。
それなのに、今彼女らを取り巻く空気はお世辞にも良いものとは言えなかった。

気まずい。
鈍感な翔子にも、そんなものは分かった。
しかも、その原因が自分であると、自身を責めてしまっている。


ほとんど会話はなかった。
そんなほろ苦い初めての三人での食事であった。


「じゃ、じゃあ私達はこれで……。」

「……。」

頭を下げる真優と翔子。
翔子は無言で、真優につられただけなようにも思えた。

「う、うん。じゃあまたね。」
ぎこちない笑顔の卯佐子。


午後からの時間。
授業中も、休み時間も上の空であった翔子。
彼女はただボーッと一点を見ていた。

年下のような甘えん坊。
現在の彼女の印象が、それだ。
しかし、無表情で、口数が減った為、そのイメージは木端微塵になった。
春、入学したての頃。
その頃のクールビューティーな美少女という彼女のイメージが復活したのだ。

「ま、真優ちゃん?」
真優へ向けられた声。
それは、普段彼女があまり話さないクラスメイトの一人のものであった。

「はい?どうしました?」
次の授業の準備をしていた真優。
自身の机の中を漁りながら答えた。

「今日の翔子ちゃ……あ、海部江さん……どうしたの?」
翔子の名前を呼ぶのを躊躇う。
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