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何だろう。
普段、これほど家庭内がピリピリしていることはない。
「今日、中学から電話があった。」
「……。」
「問題を起こしたそうだな。」
「え、え?」
チラリ。
母を見る。
視線が一瞬合ったが、すぐに彼女から目を背けるのであった。
「単刀直入に言う。転校しろ。」
「……は、は?何言ってるの?」
意味が分からない。
父の言葉が理解出来ない美成実。
「父さんが話を通してきた。もう明日からは今までの学校には行かなくて良い。」
乱暴に机の前に出された冊子。
表紙には、名門で有名な私立の中学校の名前が記されていた。
「意味分かんないよ。なんでそうなるの!?」
「話は以上だ。」
そう言うと、父はリビングから出ていってしまった。
「お母さん!」
感情的に声を荒らげる美成実。
「……。」
彼女に反応しない。
「ねぇ、お母さん!」
再度の呼びかけ。
しかし、そんな彼女のことを無視して部屋から出ていってしまった。
取り残された美成実。
どうすれば良いか分からない。
彼女は、ただただその場に立ち尽くすしか出来なかった。
翌日。
場所は変わり、翔子の部屋。
目を覚ます翔子。
朝がやって来てしまった。
ため息が漏れる。
ゆっくりと、翔子が起き上がった。
頬を伝う涙の跡。
コンコンコン……。
ノック音。
「な、なに?」
音に反応し、声を出す。
「私だよ、翔子ちゃん。」
扉越しに聞こえる声。
梨華のものだ。
「梨華ちゃん!」
バタバタと慌てて扉を開けにいく翔子。
扉を開ける。
そこには、ランドセルを背負った小柄な少女がいた。
梨華だ。
「……おはよう。怪我、大丈夫?」
梨華が心配そうに見つめる。
その先には、湿布を貼られた翔子の右腕があった。
「うん。昨日からずっと湿布貼ってもらってたから大分ましになったよ。ありがとう。」
「帰ってきたら翔子ちゃん、大泣きしてたからびっくりしたよ……。」
「えへへ、お騒がせしました……。」
それは、昨日のことである。
帰宅した梨華。
彼女の目の前には、翔子の担任教諭と話す母の姿。
そして、大粒の涙を流して腕を擦っている翔子の姿であった。
何か翔子の身に異常事態が起きた。
冷静ではいられなかった梨華ではあるが、そのことは理解することが出来た。
「誰がやったんですか?」
「あっ、妹さん?」
梨華に気づいた担任。
普段、これほど家庭内がピリピリしていることはない。
「今日、中学から電話があった。」
「……。」
「問題を起こしたそうだな。」
「え、え?」
チラリ。
母を見る。
視線が一瞬合ったが、すぐに彼女から目を背けるのであった。
「単刀直入に言う。転校しろ。」
「……は、は?何言ってるの?」
意味が分からない。
父の言葉が理解出来ない美成実。
「父さんが話を通してきた。もう明日からは今までの学校には行かなくて良い。」
乱暴に机の前に出された冊子。
表紙には、名門で有名な私立の中学校の名前が記されていた。
「意味分かんないよ。なんでそうなるの!?」
「話は以上だ。」
そう言うと、父はリビングから出ていってしまった。
「お母さん!」
感情的に声を荒らげる美成実。
「……。」
彼女に反応しない。
「ねぇ、お母さん!」
再度の呼びかけ。
しかし、そんな彼女のことを無視して部屋から出ていってしまった。
取り残された美成実。
どうすれば良いか分からない。
彼女は、ただただその場に立ち尽くすしか出来なかった。
翌日。
場所は変わり、翔子の部屋。
目を覚ます翔子。
朝がやって来てしまった。
ため息が漏れる。
ゆっくりと、翔子が起き上がった。
頬を伝う涙の跡。
コンコンコン……。
ノック音。
「な、なに?」
音に反応し、声を出す。
「私だよ、翔子ちゃん。」
扉越しに聞こえる声。
梨華のものだ。
「梨華ちゃん!」
バタバタと慌てて扉を開けにいく翔子。
扉を開ける。
そこには、ランドセルを背負った小柄な少女がいた。
梨華だ。
「……おはよう。怪我、大丈夫?」
梨華が心配そうに見つめる。
その先には、湿布を貼られた翔子の右腕があった。
「うん。昨日からずっと湿布貼ってもらってたから大分ましになったよ。ありがとう。」
「帰ってきたら翔子ちゃん、大泣きしてたからびっくりしたよ……。」
「えへへ、お騒がせしました……。」
それは、昨日のことである。
帰宅した梨華。
彼女の目の前には、翔子の担任教諭と話す母の姿。
そして、大粒の涙を流して腕を擦っている翔子の姿であった。
何か翔子の身に異常事態が起きた。
冷静ではいられなかった梨華ではあるが、そのことは理解することが出来た。
「誰がやったんですか?」
「あっ、妹さん?」
梨華に気づいた担任。
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