甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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「……分かんない。」
嘘をついてしまった。
翔子には、自身が今抱く感情が何なのか、その正体が薄々分かっているのだ。

嫉妬。
間違いない。
強引に真優を連れていけるような関係性。
そして、独り占めすることが出来ている今の状況。
その二点に、嫉妬しているのだ。

胸が苦しい。
辛い。
もうこんなものは避けたい。
ならば、どうすれば良いだろう?


これからは、もっと強引にいこう。
もっと彼女へ気持ちを表現しよう。
そう決意する翔子であった。


「ちょ、ちょっと待って下さい!」
ずるずる。
引きずられ続けていた真優。
息切れ。
既にフラフラであった。


気づくと、真優は旧校舎内まで来ていた。

「……いや、力弱すぎない?私も力強いわけじゃないけどそれにしても声の割に無抵抗過ぎるでしょ……。」

「これは……。ね、寝不足だからです。」
我ながら無理な言い分だ。
そう思う真優であった。

「ま、まぁなんでも良いや。」

卯佐子にとってはなんでも良いらしい。
「……。」

「それよりこれっ!」
ずいっ!
卯佐子が真優へ印籠のように見せたもの。
それは、彼女の携帯電話であった。

そこに写るもの。
それは積ミッターに投稿されたものだ。

「こ、これって……!?」
真優が驚きの声をあげた。

そこに写っていた人物。
それが、翔子だったのだ。

その画像の投稿日。
それは、昨日の日付になっている。
つまり、彼女が無断欠席した日だ。

「そう!私の姉と海部江さんが写ってるの!どういうことなの!?」

そんなもの知るわけがない。
真優にとって、寝耳に水だ。

「い、いや、私に聞かれても……。お姉さんに直接お尋ねしたらどうでしょうか?」

「そんなことやったよ!でもはぐらかされたよ!」

知らんわ、そんなの……。
「知らんわ、そんなの……。」

「えっ!?酷っ!」

しまった。
つい、心の声がノンフィルターで出てしまった。
「あ、あぁ……すみません。えっと、それでなんでしたっけ?今日のお昼が美味しかったって話でしたっけ?」

「違うよ!まだ食べてないでしょ!?なんで私の姉と海部江さんが一緒にいるか聞いてきてほしいの!」

翔子が昨日行動を共にしていた者。
OGとは、卯佐子の姉のことだったのだ。

「……いや、そもそもなんですけど、私が聞かないといけないんですか……?」
素朴な疑問であった。
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