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それは、真優も同じであった。
理由は単純なものだ。
普段、まだ到着していないような時間に来た。
それにより、いつもならば見れない景色、雰囲気を味わえた。
そして、翔子が普段見ている景色を知ることが出来た。
特別なことをやり遂げたわけではない。
それでも、翔子と共有できたそれらが嬉しかったのだ。
教室へ入る二人。
二人きり。
席へ座る翔子と、少し落ち着かずに荷物を自身の席へ置き、周りを歩いている真優。
この勢いで言うか?
言ってみるか?
そう、言うだけならば無料だ。
損などしない。
大丈夫だ。
「あ、あの、海部江さん。」
「うん?」
「れ、連絡先……。」
「連絡先?」
キョトン。
首をかしげる翔子。
「連絡先、交換しませんか?」
「良いの!?うん!やろう、やろう!こっちからお願いしたかったことだよ!」
満面の笑み。
「そ、そうですか……。良かった……。」
あぁ、良かった。
安堵する真優。
身体中の力が抜けてしまう。
「だ、大丈夫!?」
席から立ち、すぐさま真優に寄りそう翔子。
「え、えぇ。すみません、安心してしまいまして……。海部江さん、ご心配おかけしてしまい、すみません。」
こんなことならば、もっと早く言えば良かった。
そんなことを思う真優であった。
「あっ、やっぱり……。」
「え、え?」
「やっぱ条件がある!」
「え、えー!?」
翔子の言葉に驚きを隠せない真優。
その小さな身体が大きく動いた。
「しょ、しょう……。」
「うん?」
「……しょ、翔子……さ、さん。」
「うん!真優ちゃん!」
「っ!?」
翔子が言い出した交換条件。
それは、極めて単純なものであった。
名字ではなく、名前で呼び合うというものであった。
再び満面の笑みを見せる翔子。
その笑顔は自分にのみ向けられている。
そんなことを考えると、悪くない、むしろ良いことしかないと思う真優であった。
その変化に気づいたのは、最近彼女らとよく話すクラスメイトであった。
「……あれ?今日二人の間に漂う空気が何か違う気がする。」
「そうかな?」
「そうですか?」
キョトンとする二人。
「そうだよ!絶体違うよ!うーん、なんだろう……。違和感って言うのかな?気になる……むずむずするなぁ……絶体にその正体明かしてみせるんだから!」
「……翔子さんは分かります?違和感って。」
理由は単純なものだ。
普段、まだ到着していないような時間に来た。
それにより、いつもならば見れない景色、雰囲気を味わえた。
そして、翔子が普段見ている景色を知ることが出来た。
特別なことをやり遂げたわけではない。
それでも、翔子と共有できたそれらが嬉しかったのだ。
教室へ入る二人。
二人きり。
席へ座る翔子と、少し落ち着かずに荷物を自身の席へ置き、周りを歩いている真優。
この勢いで言うか?
言ってみるか?
そう、言うだけならば無料だ。
損などしない。
大丈夫だ。
「あ、あの、海部江さん。」
「うん?」
「れ、連絡先……。」
「連絡先?」
キョトン。
首をかしげる翔子。
「連絡先、交換しませんか?」
「良いの!?うん!やろう、やろう!こっちからお願いしたかったことだよ!」
満面の笑み。
「そ、そうですか……。良かった……。」
あぁ、良かった。
安堵する真優。
身体中の力が抜けてしまう。
「だ、大丈夫!?」
席から立ち、すぐさま真優に寄りそう翔子。
「え、えぇ。すみません、安心してしまいまして……。海部江さん、ご心配おかけしてしまい、すみません。」
こんなことならば、もっと早く言えば良かった。
そんなことを思う真優であった。
「あっ、やっぱり……。」
「え、え?」
「やっぱ条件がある!」
「え、えー!?」
翔子の言葉に驚きを隠せない真優。
その小さな身体が大きく動いた。
「しょ、しょう……。」
「うん?」
「……しょ、翔子……さ、さん。」
「うん!真優ちゃん!」
「っ!?」
翔子が言い出した交換条件。
それは、極めて単純なものであった。
名字ではなく、名前で呼び合うというものであった。
再び満面の笑みを見せる翔子。
その笑顔は自分にのみ向けられている。
そんなことを考えると、悪くない、むしろ良いことしかないと思う真優であった。
その変化に気づいたのは、最近彼女らとよく話すクラスメイトであった。
「……あれ?今日二人の間に漂う空気が何か違う気がする。」
「そうかな?」
「そうですか?」
キョトンとする二人。
「そうだよ!絶体違うよ!うーん、なんだろう……。違和感って言うのかな?気になる……むずむずするなぁ……絶体にその正体明かしてみせるんだから!」
「……翔子さんは分かります?違和感って。」
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