甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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「……え?ま、真優ちゃん?」
目の前の、あり得ない状況に困惑する翔子。

「はい、あなたのクラスメイトの雨枝ですよ?」
真優は、さも当たり前かのようにそう言う。

「お、おはよう……で良いのかな?えっと、どうしたの?」
翔子の戸惑いの声。

「はい、合ってますよ。おはようございます、海部江さん。どうしたのではないですよ。一緒に学校に行きましょう?」
にっこり。
どうやら翔子の行動は正しかったのだろう。
真優が満足げに笑っている。

「う、うん……。」
困惑してしまった。
しかし、決して嬉しくないというわけではなかった。

翔子が無断欠席をした翌日の朝。
翔子がいつも通り登校しようと玄関の扉を開けた。
そこには、本来いないはずの者がいたのだ。
真優だ。

なぜここにいるのだろう?
疑問に思う翔子。
それでも、今日初めて会ったのだ。
挨拶をするべきだろう。
この状況に混乱しながらもそうも思い、挨拶をする翔子であった。

「さぁ、行きましょう?」

「う、うん。」

「いってらっしゃい、翔子ちゃん。……では真優さん、姉のこと、くれぐれもお願いしますね。」
梨華の言葉。

「任せて、梨華ちゃん。」
ポン!
自身の胸を叩き、フンスと鼻息荒くそう言う真優であった。

「……あれ?二人ともそんなに仲良かったっけ?」
翔子が聞いた。

「……ふっふっふー、私と真優先輩は親友だからね。」

「そうです、梨華ちゃんとはツーカーの仲なので……。」

「そうなんだ。……うん?ツーカー?……ツーカー?ツーカーってなんだろう?」
結局、二人がいつから仲が良くなったのか分からない翔子。

自身の妹である梨華と、友人である真優。
翔子にとって、その二人が仲良くしているのは嬉しい。
しかし、どこか少し寂しくもあった。

すぐさま、そんな彼女の様子を感じ取った二人。
思うことは一緒であった。
あぁ、愛らしい。
と、いうものだ。


二人が仲良くなったのは、昨日翔子のことを話していた時であった。
互いに知らない彼女のことを教えあっているうちに意気投合した。
そして、連絡先を交換し、その夜もやりとりをしていたのだ。


「それで、結局昨日一緒に遊びに行ってた人はどのような方だったんですか?」
今最も聞きたかったこと。
それを尋ねる真優。
なぜか少し心臓の様子がおかしい。

聞きたいけど、聞きたくない。
そんな矛盾が彼女の心中に渦巻いていた。
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