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「は、はい……。」
「隣、海部江さん達のグループがいるんだよね。こっちだね。」
壁を数回叩く卯佐子。
そんな彼女の言葉を聞くや否や、瞬時に移動する真優。
彼女の叩いた方の壁側の席へと移動し、そのまま壁に耳を押し当てた。
「あっ、ごめん、逆側だ。」
「……。」
鋭い視線を向けながら、ゆっくりと元の席へ戻る真優であった。
「私も人のこと言えないけど、あなたって大概だね……。」
つい苦笑いしてしまう宇佐子であった。
「そういえば、なんで海部江さんの後をつけてたんですか?もしかして彼女のストーカーなんですか?」
真優の言葉。
随分と直球な子だな。
「お、おう……。凄いね、様子見も何もない単刀直入な質問だ。」
「いや、そういうのは必要ないかなって思いまして……。」
なるほど。
それもそうか。
「単純に興味があったんだ。」
「……それで尾行を?」
この子は言い方くらい少しは考えられないのだろうか?
「尾行って……まぁ、いいや。だってうちの高校って別に可もなく不可もなくって感じで特別なにかあるわけじゃない。」
「自分の通う学校のことよくそこまでいえますね……。」
「茶々入れないの。それなのに急にあんな美女が入学して来たんだよ?誰だって興味持つよ。あなただってそうでしょ?」
「……。」
何も言えない真優。
「それでさ、色々調べたんだ、あの子のこと。それで、今日彼女にそれが正しいかどうか聞こうと思って。」
翔子のことを見たのは今日が初めてだ。
しかし、彼女のことは色々調べた。
手がかりとなるものは少なかった。
それでも様々なことが分かった。
「……悪趣味なことしますね。」
否定は出来ない。
「……でも人間ってそんなものじゃない?」
「……?」
「隠されているものを暴こうとしたり、ミステリアスな子に惹かれて近づこうとする。それで勝手に幻滅する。違う?」
「……。」
「あの子もその手の被害をかなり受けてきたみたいだね。」
そうだ。
彼女には辛い過去がある。
彼女のことを調べていくうちにある事件のことを知った。
その時の彼女の気持ちは考えたくもない。
「……でしょうね。海部江さん、美人だから……。」
真優にも何か思うところがあるのだろう。
何か含みのある言い方をしていた。
真優が出ていき、一人になった部屋。
一通り歌い終わり、満足した卯佐子。
「隣、海部江さん達のグループがいるんだよね。こっちだね。」
壁を数回叩く卯佐子。
そんな彼女の言葉を聞くや否や、瞬時に移動する真優。
彼女の叩いた方の壁側の席へと移動し、そのまま壁に耳を押し当てた。
「あっ、ごめん、逆側だ。」
「……。」
鋭い視線を向けながら、ゆっくりと元の席へ戻る真優であった。
「私も人のこと言えないけど、あなたって大概だね……。」
つい苦笑いしてしまう宇佐子であった。
「そういえば、なんで海部江さんの後をつけてたんですか?もしかして彼女のストーカーなんですか?」
真優の言葉。
随分と直球な子だな。
「お、おう……。凄いね、様子見も何もない単刀直入な質問だ。」
「いや、そういうのは必要ないかなって思いまして……。」
なるほど。
それもそうか。
「単純に興味があったんだ。」
「……それで尾行を?」
この子は言い方くらい少しは考えられないのだろうか?
「尾行って……まぁ、いいや。だってうちの高校って別に可もなく不可もなくって感じで特別なにかあるわけじゃない。」
「自分の通う学校のことよくそこまでいえますね……。」
「茶々入れないの。それなのに急にあんな美女が入学して来たんだよ?誰だって興味持つよ。あなただってそうでしょ?」
「……。」
何も言えない真優。
「それでさ、色々調べたんだ、あの子のこと。それで、今日彼女にそれが正しいかどうか聞こうと思って。」
翔子のことを見たのは今日が初めてだ。
しかし、彼女のことは色々調べた。
手がかりとなるものは少なかった。
それでも様々なことが分かった。
「……悪趣味なことしますね。」
否定は出来ない。
「……でも人間ってそんなものじゃない?」
「……?」
「隠されているものを暴こうとしたり、ミステリアスな子に惹かれて近づこうとする。それで勝手に幻滅する。違う?」
「……。」
「あの子もその手の被害をかなり受けてきたみたいだね。」
そうだ。
彼女には辛い過去がある。
彼女のことを調べていくうちにある事件のことを知った。
その時の彼女の気持ちは考えたくもない。
「……でしょうね。海部江さん、美人だから……。」
真優にも何か思うところがあるのだろう。
何か含みのある言い方をしていた。
真優が出ていき、一人になった部屋。
一通り歌い終わり、満足した卯佐子。
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