74 / 154
11
11ー4
しおりを挟む
あずみに連れられ翔子がやって来た場所。
それは、地下にもテナントがところ狭しと並ぶような商業ビルであった。
平日の午前中。
それなのに、そこは人で溢れている。
「こ、これが都会パワー……。恐ろしい……なんてことだぁ……。」
驚きを隠すことの出来ない翔子。
人の目など気にしていられる余裕は今の彼女にはない。
そのせいか、思考がノンフィルターで口から出てしまう翔子であった。
「ふふ、なにそれ。」
翔子の呟きを聞き、思わず笑ってしまうあずみであった。
「へ?あっ、すみません……。」
聞こえていたのか。
恥ずかしい。
顔が熱い。
俯いてしまう翔子。
それにしても……。
恥ずかしさが減っていき、冷静になった翔子。
足がすくんでしまう。
今からここに行くのか。
心臓が高鳴っているのが分かる翔子であった。
「さっ!行こう!行こう!」
ルンルン。
そんな表現がぴったりなほど楽しげな様子のあずみ。
翔子の背中を両手で押しながら進んで行った。
ざわざわ……。
やはり内部も人で溢れている。
誰も彼も洒落た服を着ている。
その光景を見て、翔子は確信した。
場違いだ。
都会のお洒落を凝縮したような場所。
そんなところに自分が来てしまった。
そのオーラだけで消滅してしまいそうだ。
そうなれば、翔子のやるべきことはただ一つ。
意を決して口を開く。
「あ、あー……この方角は風水的に良くないので私は帰りますねー。」
「何良く分かんないこと言ってるの?ほら、早く、早く!」
翔子の言葉は意図も容易く否定されてしまった。
ズンズン進むあずみ。
そして、そんな彼女に引っ張られていく翔子。
「そう言えば聞くの忘れてたんだけど、どんな系統が良い?」
「け、系統?」
「そう。ボーイッシュなものとか、ガーリッシュとか……。」
「……え?え?」
何を言っているのか全く分からない。
混乱する翔子。
「あー、ごめん。出来る限り分かりやすい言い方を選んだつもりなんだけど……。」
苦笑い。
「な、なんかすみません……。」
翔子は何も悪いことなどしていない。
それでも申し訳ない気持ちになってしまうのであった。
「いや、こっちこそごめんね。……よしっ!なら取り合えず順番に見ていこう!」
あずみが元気一杯に言った。
「は、はいっ!」
負けずに元気に返事をする。
今の翔子には、それしか出来なかった。
それは、地下にもテナントがところ狭しと並ぶような商業ビルであった。
平日の午前中。
それなのに、そこは人で溢れている。
「こ、これが都会パワー……。恐ろしい……なんてことだぁ……。」
驚きを隠すことの出来ない翔子。
人の目など気にしていられる余裕は今の彼女にはない。
そのせいか、思考がノンフィルターで口から出てしまう翔子であった。
「ふふ、なにそれ。」
翔子の呟きを聞き、思わず笑ってしまうあずみであった。
「へ?あっ、すみません……。」
聞こえていたのか。
恥ずかしい。
顔が熱い。
俯いてしまう翔子。
それにしても……。
恥ずかしさが減っていき、冷静になった翔子。
足がすくんでしまう。
今からここに行くのか。
心臓が高鳴っているのが分かる翔子であった。
「さっ!行こう!行こう!」
ルンルン。
そんな表現がぴったりなほど楽しげな様子のあずみ。
翔子の背中を両手で押しながら進んで行った。
ざわざわ……。
やはり内部も人で溢れている。
誰も彼も洒落た服を着ている。
その光景を見て、翔子は確信した。
場違いだ。
都会のお洒落を凝縮したような場所。
そんなところに自分が来てしまった。
そのオーラだけで消滅してしまいそうだ。
そうなれば、翔子のやるべきことはただ一つ。
意を決して口を開く。
「あ、あー……この方角は風水的に良くないので私は帰りますねー。」
「何良く分かんないこと言ってるの?ほら、早く、早く!」
翔子の言葉は意図も容易く否定されてしまった。
ズンズン進むあずみ。
そして、そんな彼女に引っ張られていく翔子。
「そう言えば聞くの忘れてたんだけど、どんな系統が良い?」
「け、系統?」
「そう。ボーイッシュなものとか、ガーリッシュとか……。」
「……え?え?」
何を言っているのか全く分からない。
混乱する翔子。
「あー、ごめん。出来る限り分かりやすい言い方を選んだつもりなんだけど……。」
苦笑い。
「な、なんかすみません……。」
翔子は何も悪いことなどしていない。
それでも申し訳ない気持ちになってしまうのであった。
「いや、こっちこそごめんね。……よしっ!なら取り合えず順番に見ていこう!」
あずみが元気一杯に言った。
「は、はいっ!」
負けずに元気に返事をする。
今の翔子には、それしか出来なかった。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる