甘え嬢ずな海部江さん。

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「ふふ、元気になったね。良かったよ。そうだよ、卒業生だよ、後輩ちゃん。」
微笑む女性。

そして、女性は再度話をし始めた。
その内容は、翔子も知っている彼女の通っている瀬部高等学校についてであった。


「……そうなんですね、お姉さんが通っていた頃からあれあったんですね。」

「そうだよ。……そっか、まだあったんだね。」

歩き、駅から離れていく二人。
翔子はすっかり彼女に心を開いていた。


「……そういえば、あなたなんでここに来たの？瀬部高って真逆だよね？」

「じ、実はその……。」

「ふんふん。」

「……ね、寝過ごしてしまいまして……。」

「あははははっ！なにそれー！ミステリアスなクール美人さんかと思ってたらおっちょこちょいな子なんだね。」
大笑いする女性。

恥ずかしい。
耳まで真っ赤になっているだろう。
その熱さで分かる翔子であった。

「うぅ……。」

「なら、せっかくだし、サボっちゃう？」
ふふふ。
妖艶な笑みを浮かべる女性。

大人だ。
その笑みを見て唖然とする翔子であった。

「だ、駄目ですよっ！」

「えー？でも今から行っても間に合わないよ？」

確かにその通りだ。
今から引き返しても遅刻になってしまうだろう。
「で、でも……。」

「良いから、良いからっ！ほら、一緒に行こう！先輩命令っ！決定っ！」

「えっ、あっ、ちょっ！？」

ガシッと腕を捕まれた翔子。
逃げれない。
そんな彼女を引っ張り、女性は走り出してしまった。

半ば強引に翔子は高校をサボることとなってしまった。
それは、彼女の人生で初めてのものであった。


「それでどこに行く？」

「え、えっと……。」

歩き出したは良いが、どうやら目的地は決まっていなかったようだ。
女性が翔子に質問する。

「平日にその格好で出歩いてたら不味いよね……そうだ！服買ってあげるよ！」

「えっ？いや、悪いです！」

「良いから、良いからっ！バイト代入ったばっからだからお姉さんに任せなさいっ！」
エッヘン。
どや顔をする女性。

「で、でも……。」

「なら一個お願い聞いてもらっても良い？」

「……え？その……私が出来ることですか？」

「出来る出来るっ！というか、あなたにしか出来ないことだよ。」

私にしか出来ないこと？
一体なんだろうか？
疑問が浮かぶ翔子。
「えっと、ちなみにそれってなんでしょうか？」