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「んふふー。真優ちゃん……ぎゅー。」
リラックスした甘い声。
翔子の口から出たものだ。
「ちょ、海部江さん?ちょっと痛いですよ、もう少し力弱めて下さいよ、もう……。ふふふ。全く、仕方のない人ですね……。」
一見、呆れているような真優。
しかし、その実満更でもない様子の彼女。
放課後に、カラオケに行ってから数日が経った。
真優が乱入したのが思い出となっていた。
そんなある日の放課後。
翔子達の教室。
現在の状況。
それが、どういうきっかけで起きたことなのか。
真優には、それが一切分からない。
皆目検討がつかない。
しかし、突然翔子がべったりと彼女にくっつくようになった。
自身の席に座っている翔子。
そんな彼女の膝の上。
そこには、真優がいた。
ちょこんと座っている彼女。
そして、そんな彼女を翔子は、力一杯後ろから抱き締めていた。
原因が分からない。
それは仕方がないことだろう。
今まで、ろくに人と関わらなかった真優。
浅く、かといって広くはない交遊関係であった。
これほどべたべたされたことなど、今まで一度もなかった。
それなのに、翔子に抱きつかれていても、真優は不快に思うことはなかった。
「翔子ちゃん、グミ食べる?」
「真優ちゃんも飴いる?」
クラスメイト達が続々と翔子達へ話しかける。
ニコニコ。
楽しそうな表情と声であった。
「い、いえ、ありがたいですが、遠慮します……。お気持ちだけ頂きます。」
「本当!?わーい、嬉しいなぁ。ありがとう!雨枝さんも貰いなよー!」
対照的な二人であった。
「……そ、そうですか?……ま、まぁ海部江さんが言うのでしたら……お、お言葉に甘えます。」
真優は、翔子に言われてすぐに折れてしまった。
「はい、あーん。」
クラスメイトから差し出された飴。
それは真優へ向けられていた。
「……え?いや、流石にそこまでして頂くわけには……。」
餌付けされている。
そんな気がしてならない真優。
「えー?そんなこと言わないでよー。ほら、翔子ちゃんの方見てみてよー。」
クラスメイトに言われ、すぐ後ろを見てみる真優。
そこには翔子が大口を開き、グミを食べさせてもらっている姿があった。
「翔子ちゃん、美味しい?」
「うん!ありがとう!凄く美味しいよ!」
ニコニコ。
幸せさを全く隠す様子のない満面の笑みを見せる翔子であった。
リラックスした甘い声。
翔子の口から出たものだ。
「ちょ、海部江さん?ちょっと痛いですよ、もう少し力弱めて下さいよ、もう……。ふふふ。全く、仕方のない人ですね……。」
一見、呆れているような真優。
しかし、その実満更でもない様子の彼女。
放課後に、カラオケに行ってから数日が経った。
真優が乱入したのが思い出となっていた。
そんなある日の放課後。
翔子達の教室。
現在の状況。
それが、どういうきっかけで起きたことなのか。
真優には、それが一切分からない。
皆目検討がつかない。
しかし、突然翔子がべったりと彼女にくっつくようになった。
自身の席に座っている翔子。
そんな彼女の膝の上。
そこには、真優がいた。
ちょこんと座っている彼女。
そして、そんな彼女を翔子は、力一杯後ろから抱き締めていた。
原因が分からない。
それは仕方がないことだろう。
今まで、ろくに人と関わらなかった真優。
浅く、かといって広くはない交遊関係であった。
これほどべたべたされたことなど、今まで一度もなかった。
それなのに、翔子に抱きつかれていても、真優は不快に思うことはなかった。
「翔子ちゃん、グミ食べる?」
「真優ちゃんも飴いる?」
クラスメイト達が続々と翔子達へ話しかける。
ニコニコ。
楽しそうな表情と声であった。
「い、いえ、ありがたいですが、遠慮します……。お気持ちだけ頂きます。」
「本当!?わーい、嬉しいなぁ。ありがとう!雨枝さんも貰いなよー!」
対照的な二人であった。
「……そ、そうですか?……ま、まぁ海部江さんが言うのでしたら……お、お言葉に甘えます。」
真優は、翔子に言われてすぐに折れてしまった。
「はい、あーん。」
クラスメイトから差し出された飴。
それは真優へ向けられていた。
「……え?いや、流石にそこまでして頂くわけには……。」
餌付けされている。
そんな気がしてならない真優。
「えー?そんなこと言わないでよー。ほら、翔子ちゃんの方見てみてよー。」
クラスメイトに言われ、すぐ後ろを見てみる真優。
そこには翔子が大口を開き、グミを食べさせてもらっている姿があった。
「翔子ちゃん、美味しい?」
「うん!ありがとう!凄く美味しいよ!」
ニコニコ。
幸せさを全く隠す様子のない満面の笑みを見せる翔子であった。
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