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突き刺すような視線。
何度経験しても慣れることはない。
恐らく今後も慣れることはないだろう。
こんなことがあと何日続くのだろう。
なぜこんなに苦しまなければならないのだろう。
下校中だろうか。
数人の中学生のグループが歩いている。
そんな姿が美成実の視界に入る。
あの時は楽しかったな。
不可能なのは分かっている。
しかし、それでも可能ならば、また戻りたい。
あの幸せな時間をもう一度味わいたい。
そんなことを思っている美成実。
すると、そこには見覚えのある姿がそこにあった。
「……り、梨華ちゃん?」
思わず駆け出してしまう美成実。
目指すのは、目の前の中学生の列。
段々と近づいていく。
「り、梨華ちゃん!梨華ちゃんだよね!?」
再びの声。
今度は呟きではない。
一人の少女へ向けたものであった。
「……え、えっ!?嘘!?白鳳院の制服!?」
「り、梨華!?白鳳院の人と知り合いなの!?」
ざわざわ。
一気に騒がしくなる。
「……知らないよ、そんな人。行こ?」
ちらり。
一瞬美成実をみた。
しかし、すぐにそっぽを向き、歩き始めた。
「え?で、でも……。」
「この人梨華のこと呼んでるよ?」
「良いから。ほら、二人とも行こう?」
再度の催促。
それは先ほどのものよりも少し強引なものであった。
「ま、待ってよ!梨華ちゃん!」
美成実も再度、呼びかける。
それでも止まろうとはしない。
梨華。
翔子の妹だ。
駆け寄り梨華の腕を掴む美成実。
しかし、それはすぐさま振り払われた。
「あなたは用があるかもしれませんが、私はあなたに用はありません。いい加減にしてくれないと怒りますよ?」
声が震えている。
既にそれは、怒気がこもっていた。
そして彼女は、ギロリと鋭い視線で美成実を見た。
「っ!?」
ビクッ。
美成実はその言葉と視線に怯んでしまった。
「梨華……?」
「え、ど、どうしちゃったの?」
普段見ることのないような彼女の姿。
それに気圧されたじろぐ周り。
「……もう本当に良いよ。行こう?」
そう言う梨華。
素直に従うほかない。
そう思い、周りも歩を進めた。
その場には、美成実だけが取り残された。
途方にくれる美成実。
もうどうすれば良いのか分からない。
携帯電話を触り始めた。
そこにはもう、美成実が心のよりどころとする彼女の連絡先はない。
何度経験しても慣れることはない。
恐らく今後も慣れることはないだろう。
こんなことがあと何日続くのだろう。
なぜこんなに苦しまなければならないのだろう。
下校中だろうか。
数人の中学生のグループが歩いている。
そんな姿が美成実の視界に入る。
あの時は楽しかったな。
不可能なのは分かっている。
しかし、それでも可能ならば、また戻りたい。
あの幸せな時間をもう一度味わいたい。
そんなことを思っている美成実。
すると、そこには見覚えのある姿がそこにあった。
「……り、梨華ちゃん?」
思わず駆け出してしまう美成実。
目指すのは、目の前の中学生の列。
段々と近づいていく。
「り、梨華ちゃん!梨華ちゃんだよね!?」
再びの声。
今度は呟きではない。
一人の少女へ向けたものであった。
「……え、えっ!?嘘!?白鳳院の制服!?」
「り、梨華!?白鳳院の人と知り合いなの!?」
ざわざわ。
一気に騒がしくなる。
「……知らないよ、そんな人。行こ?」
ちらり。
一瞬美成実をみた。
しかし、すぐにそっぽを向き、歩き始めた。
「え?で、でも……。」
「この人梨華のこと呼んでるよ?」
「良いから。ほら、二人とも行こう?」
再度の催促。
それは先ほどのものよりも少し強引なものであった。
「ま、待ってよ!梨華ちゃん!」
美成実も再度、呼びかける。
それでも止まろうとはしない。
梨華。
翔子の妹だ。
駆け寄り梨華の腕を掴む美成実。
しかし、それはすぐさま振り払われた。
「あなたは用があるかもしれませんが、私はあなたに用はありません。いい加減にしてくれないと怒りますよ?」
声が震えている。
既にそれは、怒気がこもっていた。
そして彼女は、ギロリと鋭い視線で美成実を見た。
「っ!?」
ビクッ。
美成実はその言葉と視線に怯んでしまった。
「梨華……?」
「え、ど、どうしちゃったの?」
普段見ることのないような彼女の姿。
それに気圧されたじろぐ周り。
「……もう本当に良いよ。行こう?」
そう言う梨華。
素直に従うほかない。
そう思い、周りも歩を進めた。
その場には、美成実だけが取り残された。
途方にくれる美成実。
もうどうすれば良いのか分からない。
携帯電話を触り始めた。
そこにはもう、美成実が心のよりどころとする彼女の連絡先はない。
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