甘え嬢ずな海部江さん。

7

7ー7

「……トイレトイレ……うぅ……。」
廊下を彷徨う真優。

少しして、目的地が見えた。
良かった。
安心し、さらに歩みが早くなる。

見覚えのある制服姿の少女達すれ違う。
真優や翔子達とは違う高校の制服だ。

「……白鳳院女子の子達もこんなとこに来るんだ……。」
ぽつり。
つい、思考が出てしまった真優。

白鳳院女子高校。
所謂お嬢様高校で、偏差値だけでなく、家柄も良いことで有名な高校だ。

ぶるっ。
そんな場合じゃない。


「……セーフ。」
廊下へ出た真優から出た言葉。

さてと……。
「……困った。……部屋、どこだっけ……？」


数分後。
廊下へ漏れる微かな音を扉越しに聞きながら部屋を探していた真優。
何とか戻って来る事が出来た。

どうやって部屋へ入ろうか。
そう考える真優の耳に届く聞いたことのあるイントロ。
それは、彼女が予約した曲のものだ。

しまった。
もう自分の番になってしまった。

バタン！
勢い良く扉を開けた。


「僭越ながら私、雨枝真優！歌わせていただきます！」