甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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人気のない夜道。
ぽつりぽつりとある外灯。
それに、たまに点在する民家の明かりが辛うじて照らしている。

そんな場所を歩く二人。
彼女らの身長に大差はない。

十分ほど歩いただろうか。
無言で歩いている二人。
しかし、その静寂を破ったのは、梨華であった。

「……あの、一つ聞いても良いですか?」

「う、うん。良いよ。」
内容にもよる。
しかし、なるべく答えたい。
そう思う真優であった。

「翔子ちゃ……失礼しました、姉とは仲が良いのですか?」

「……え?ま、まぁ……そう……だね……。友達……かな?あはは……。」
はっきりと言いきれない真優。
しどろもどろになってしまった。

彼女と出会ったのは高校に高校に入学してからだ。
そして、それもまだ日が浅い。

「……。」
真優の言葉を聞き、無言になる梨華。
彼女は、何か考え込んでいるようであった。

「……あ、あの……。」

「……あっ、すみません。……その、あ、姉がお友達を連れて来るなんてなかったので……。」

「そ、そうなんだ……。」
なぜだろう、理由は分からない。
しかし、梨華にそのことを聞いた真優は、嬉しかった。

「……姉を裏切らないで下さいね?」
ぽつり。

「……え?」
聞き取れず、聞き返す真優。

「いえ、何でもありません。……姉のこと、よろしくお願いします。」
ぺこり。
その場に立ち止まり、頭を下げる梨華。

「こ、こちらこそ……?」

「そうだ、学校での姉のことを教えてもらっても良いですか?」
歩を進め、梨華がそんなことを言った。

「ふふ、良いよ。……でも海部江さん、お姉さんには内緒だよ?」

その美貌から、クラスでは高嶺の花であること。
そして、人見知りでクラクメイトと上手く話せないだけなのに、クールな印象を持たれているということ。
それらを話した。
その際、見た目と内面のギャップが可愛いと思ってしまったともつい言ってしまった。

「……。」
再び無言になる。
心なしか、表情が険しい。

「……り、梨華さん?」

「……いえ、度々すみません。……でも。」

「……?」

「一つ、約束してもらえませんか?」

「……なに?」
ゴクリ。
唾を飲む真優。
真剣な表情、そして声。
彼女の雰囲気が変わったのに気づいた為だ。


「……そのこと、他の人には絶対に話さないで下さい。お願いします、絶対に……ですよ?」
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