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「ふっふっふー……お待たせしましたぁー。」
心底楽しそうな声の翔子。
わくわくを隠せていない。
語尾が弾んでいる。
良かった。
これで少しはましな空気になるだろう。
思わず安堵のため息をつく真優であった。
翔子の手には、テレビのCMでも放送している有名なクッキーの袋。
リビングや、キッチンに置かれていなかったことから、彼女のものだったのだろうと予想が出来た。
「はい!三人で食べよう?」
にこにこ。
笑顔の翔子。
やはり彼女には笑顔がよく似合う。
「ありがとう、お姉ちゃん。……でも晩ご飯食べれなくなるから少しだけ。ね?」
「ありがとうございます、海部江さん。」
翔子に礼を言う二人。
彼女らは、自然と微笑んでいた。
「あっ……。」
声をあげる翔子。
彼女の視線は真優に向けられていた。
「……?」
「あ、あー、お姉ちゃん、今日はお母さんの席に座ったら?」
「……うん。」
梨華の言葉に応える翔子。
真優の隣の席に腰掛けるのであった。
そうか、ここは彼女の席だったのか。
先ほどの梨華の行動の訳が分かった。
「あっ、すみません。……席交換しますね。」
「大丈夫だよ!座って座ってっ!」
「そうですよ、雨枝先輩。」
「そ、そう……ですか?」
ずいずいっと来る海部江姉妹の圧。
それに押し負ける真優であった。
ぎこちない。
それでも梨華とも段々と打ち解けれた。
そのはずだろう。
「よし、そろそろご飯用意しよっかな。」
少し経過してからの梨華の一言。
もうそんな時間か。
真優は自身の携帯電話を見る。
間もなく午後七時になる。
夕飯には良い時間だ。
「今日は私も手伝うよ!」
勢い良く立ち上がる翔子。
ふんす!
自信満々に鼻息荒く、彼女はそう言った。
「……えっ。」
唖然。
まさにその言葉が相応しい。
言葉を失う梨華。
その顔は焦りに染まっていた。
口をパクパクと動かし、真っ青になっている。
「雨枝さん!今から梨華ちゃんと一緒に晩ご飯作ってくるから待っててね!楽しみにしててね!」
依然やる気満々の翔子。
「あ、しょ、翔子ちゃんは大丈夫だよ。雨枝先輩と二人で待ってて?お願い。」
ようやく声が出た梨華。
依然焦りが見える。
翔子を名前で呼んでいるのだ。
「えー?私もやるよー!」
「い、良いからっ!ね?ほ、ほら、雨枝先輩とお話してて?」
心底楽しそうな声の翔子。
わくわくを隠せていない。
語尾が弾んでいる。
良かった。
これで少しはましな空気になるだろう。
思わず安堵のため息をつく真優であった。
翔子の手には、テレビのCMでも放送している有名なクッキーの袋。
リビングや、キッチンに置かれていなかったことから、彼女のものだったのだろうと予想が出来た。
「はい!三人で食べよう?」
にこにこ。
笑顔の翔子。
やはり彼女には笑顔がよく似合う。
「ありがとう、お姉ちゃん。……でも晩ご飯食べれなくなるから少しだけ。ね?」
「ありがとうございます、海部江さん。」
翔子に礼を言う二人。
彼女らは、自然と微笑んでいた。
「あっ……。」
声をあげる翔子。
彼女の視線は真優に向けられていた。
「……?」
「あ、あー、お姉ちゃん、今日はお母さんの席に座ったら?」
「……うん。」
梨華の言葉に応える翔子。
真優の隣の席に腰掛けるのであった。
そうか、ここは彼女の席だったのか。
先ほどの梨華の行動の訳が分かった。
「あっ、すみません。……席交換しますね。」
「大丈夫だよ!座って座ってっ!」
「そうですよ、雨枝先輩。」
「そ、そう……ですか?」
ずいずいっと来る海部江姉妹の圧。
それに押し負ける真優であった。
ぎこちない。
それでも梨華とも段々と打ち解けれた。
そのはずだろう。
「よし、そろそろご飯用意しよっかな。」
少し経過してからの梨華の一言。
もうそんな時間か。
真優は自身の携帯電話を見る。
間もなく午後七時になる。
夕飯には良い時間だ。
「今日は私も手伝うよ!」
勢い良く立ち上がる翔子。
ふんす!
自信満々に鼻息荒く、彼女はそう言った。
「……えっ。」
唖然。
まさにその言葉が相応しい。
言葉を失う梨華。
その顔は焦りに染まっていた。
口をパクパクと動かし、真っ青になっている。
「雨枝さん!今から梨華ちゃんと一緒に晩ご飯作ってくるから待っててね!楽しみにしててね!」
依然やる気満々の翔子。
「あ、しょ、翔子ちゃんは大丈夫だよ。雨枝先輩と二人で待ってて?お願い。」
ようやく声が出た梨華。
依然焦りが見える。
翔子を名前で呼んでいるのだ。
「えー?私もやるよー!」
「い、良いからっ!ね?ほ、ほら、雨枝先輩とお話してて?」
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