甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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「……え?」

彼らは翔子のことを知っているようだった。
彼女の名前を知っていた。
その為、恐らくその推測は正しいのだろう。

「さっきの人達あなたの名前を呼んでたので……。もしかして知り合いなのかなって……違ったらすみません。」
そう言うと、真優は先ほど彼らに言われたことを思い出していた。

翔子と自分を見て、妹かと聞いた。
つまり、彼らには年下だと思われたのだ。
真優腹部にじんわり熱い物を感じていた。
腸が煮えくり返る。
こういうことを言うのだろう。

「さっき人達……中学の時のクラスメイト……らしいんだ。」
ぼそり。
翔子が呟いた。

中学の時のクラスメイト。
それはつまり、真優とも同い年ということだ。
「……らしい?」
えらく他人事だな。

「うん。そうみたい……。私はよく覚えてないんだけど……。」

「……せ、成長期ですもんね。」
きっとそうなんだろう。
見た目が変わったんだ。

翔子や彼らもその類いなのだろう。
すらりと高い背。
大人びた雰囲気。
とても少し前まで中学生だったなんて思えない。
そう、彼女は絶賛成長期なのだ。
真優はそう結論づけた。

「……まぁ、私ももうすぐあなたのように大人っぽい女性になりますけどね……。す、すぐに……。今年中に……いえ、高校在学中……じゅ、十代の内には……。」
自身の考えが落ち着くと、つい出てしまった本音であった。

尻切れトンボ。
それは自信のないものであった。

「……。」
何と言って良いのか分からない翔子。
ただ無言でいるしかなかった。

「せ、せめて笑って下さいよ……。小粋なジョークじゃないですか……。」
誤魔化す。
上手くいっただろうか?

「あ、あはは……。そ、そっか……ごめんね。」
翔子には、それがジョークだったとは分からなかった。
これっぽっちも面白くなかったが、笑ってみせた。
その為、上手く笑えている自信はなかった。

「なんですか、そのわざとらしい笑いは……。ま、まぁ、良いです。それで、彼らとは久しぶりに会って遊びに……という雰囲気ではなさそうでしたよね?」

「……うん。」

所々つまりながらも、翔子は話始めた。
その内容は、至って単純なものであった。

中学生だった頃、彼らとの接点は皆無であった。
同じクラスであっても挨拶すらもしない。
その程度だ。
それなのに、翔子は今日突然、彼らに声をかけられたのだ。
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