はりぼてスケバン

あさまる

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彼女の言葉で皆が静まる。
今から三花の処遇が決まる。
しかし、それだけではない。

彼らにとって、それが重要なのではない。
彼女の考え方が、ここで分かるのだ。
だからこそ、聞いておかなければならない。

彼女が番長として担ぐに値するかどうか。
それが今から分かるのだ。

「今回の件は……不問にする……!」
それが、彼女の出した答えであった。

不問。
つまり、今回の騒ぎはなかったことにするということだ。

騒然となる周囲。
当たり前だ。
いくら華子が決めたこととはいえ、無条件に認めるわけにはいかないのだ。

「ね、姐さん!?本気っすか!?」

「……鼬原、正気か?」

丸雄と亥玄も反応する。
彼らも他の者達と同じように、華子の決定に否定的だ。

「うん。私は本気だし、正気だよ。」

「……お前のそれは優しさではないぞ?同情しているだけなら止めておけ。」

「うん……分かってる……分かってるよ。これは……決して同情心でも、優しさなんかでもない。」

「……なら何だ?」
納得が出来ない。
そんな気持ちを隠そうとせずに亥玄がすぐに質問する。

「きっと……ここで皆が考えるような処罰を加えれば、きっと彼女はもっと追い詰められると思うんだ……。」

逆恨み。
そんなことを仕出かす彼女のことだ。
ここで下手に追い詰めればより危険な行為に及ぶだろう。
その可能性を潰す為の選択だ。

「そ、それはそうっすけど……でも、自業自得っすよ!」
今度は丸雄が反応する。

「それでも!それでも……これ以上追い詰めるのは……駄目……。」

「姐さん……。」
きっと、彼女はテコでも動かないだろう。
呟くしか出来ない丸雄であった。

彼女は番長だ。
しかし、その意見の全てを肯定して良いというわけではない。
誤った選択をすれば、皆で止めなければならない。
決して暴君にさせてはいけないのだ。


「まぁ、良いんじゃない?」
決して大きいわけではない。
しかし、ざわざわと騒がしいその場に響く声。
心司のものだ。

番長である華子。
そして、生徒会長である心司。
二人が認めている。
それならば、先ほどまでとは話が変わってくる。

これ以上、この話題に触れるのは止めよう。
皆がそう思っていた。
しかし、それは、ただ一人を除いてだ。

「鼬原。」
亥玄だ。

「え?な、なに?」
呼ばれた彼女が驚きながら反応する。
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