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黒龍高校の番長が、正式に発表された。
史上初、女子生徒である華子がそこに座することとなった。
その影響は、翌日からすぐに出初めていた。
いつも通り、丸雄と登校することとなるだろう。
そんなことを思い、登校する為に自宅の玄関の扉を開けた華子。
そこには信じられない光景が広がっていた。
「おはようございます、頭!」
代表して一人が大声での挨拶する。
そして、それに続き挨拶をして一斉に頭を下げる黒龍高校の生徒達。
そこには華子が知らない生徒達もいた。
閑静な住宅街に響き渡る。
迷惑極まりない。
「あ、あっ……えっと……。」
戸惑い。
シンプルに言えば、それが彼女の脳の大半を占めていた。
「おはようっす、姐さん!」
いつものように丸雄が駆け寄る。
安堵する。
昨日までと全く違う異常な景色。
そんな中で、見慣れた日常に接することが出来た。
これほど丸雄に感謝したことはないだろう。
「うん、おはよう。えっと……その、これは……?」
きっと彼の方が、このような所謂不良文化に詳しいだろう。
「姐さんは黒高の正式な番長になったんすよ!?だから、皆が姐さんと登校したいって思って自宅まで押し掛けちゃったって感じっすよ!」
「な、なんで皆、私の家を知ってるの?」
至極全うな疑問だ。
「姐さんの右腕である俺が教えたんっす!」
曇り一つない笑みで、丸雄が言う。
「……。」
なぜ彼はそんな勝手なことをしてしまったのだろう。
呆れて言葉も出ない華子。
つい、苦笑いしてしまった。
「お、おぉ!姐さん、喜んでくれましたか!?」
丸雄の勘違いに、空しい笑いしか出てこない華子。
しかし、言うべきことは決まっていた。
「明日からは止めてって皆に言っておいてね。」
ゾロゾロと大人数で向かうわけにはいかない。
華子は皆に解散するように言った。
そして、丸雄にも伝えておいたが、自身の口からも直接今後はこのようなことは控えるようにと釘を刺した。
いつも通り、丸雄と登校出来たのは、それから十分ほど経過した頃であった。
少し遅い時間。
その為、いつもよりも少し急ぎめで自転車を漕ぐよう丸雄へ言った。
彼が勝手なことをしたのだ。
これぐらいのことはしてもらわなくては困る。
そう思いながら、やや強めな向かい風に口角の上がる華子であった。
いつもなら、彼女が登校しようがお構い無しな生徒達。
しかし、今日は違った。
史上初、女子生徒である華子がそこに座することとなった。
その影響は、翌日からすぐに出初めていた。
いつも通り、丸雄と登校することとなるだろう。
そんなことを思い、登校する為に自宅の玄関の扉を開けた華子。
そこには信じられない光景が広がっていた。
「おはようございます、頭!」
代表して一人が大声での挨拶する。
そして、それに続き挨拶をして一斉に頭を下げる黒龍高校の生徒達。
そこには華子が知らない生徒達もいた。
閑静な住宅街に響き渡る。
迷惑極まりない。
「あ、あっ……えっと……。」
戸惑い。
シンプルに言えば、それが彼女の脳の大半を占めていた。
「おはようっす、姐さん!」
いつものように丸雄が駆け寄る。
安堵する。
昨日までと全く違う異常な景色。
そんな中で、見慣れた日常に接することが出来た。
これほど丸雄に感謝したことはないだろう。
「うん、おはよう。えっと……その、これは……?」
きっと彼の方が、このような所謂不良文化に詳しいだろう。
「姐さんは黒高の正式な番長になったんすよ!?だから、皆が姐さんと登校したいって思って自宅まで押し掛けちゃったって感じっすよ!」
「な、なんで皆、私の家を知ってるの?」
至極全うな疑問だ。
「姐さんの右腕である俺が教えたんっす!」
曇り一つない笑みで、丸雄が言う。
「……。」
なぜ彼はそんな勝手なことをしてしまったのだろう。
呆れて言葉も出ない華子。
つい、苦笑いしてしまった。
「お、おぉ!姐さん、喜んでくれましたか!?」
丸雄の勘違いに、空しい笑いしか出てこない華子。
しかし、言うべきことは決まっていた。
「明日からは止めてって皆に言っておいてね。」
ゾロゾロと大人数で向かうわけにはいかない。
華子は皆に解散するように言った。
そして、丸雄にも伝えておいたが、自身の口からも直接今後はこのようなことは控えるようにと釘を刺した。
いつも通り、丸雄と登校出来たのは、それから十分ほど経過した頃であった。
少し遅い時間。
その為、いつもよりも少し急ぎめで自転車を漕ぐよう丸雄へ言った。
彼が勝手なことをしたのだ。
これぐらいのことはしてもらわなくては困る。
そう思いながら、やや強めな向かい風に口角の上がる華子であった。
いつもなら、彼女が登校しようがお構い無しな生徒達。
しかし、今日は違った。
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