はりぼてスケバン

あさまる

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「……?」
何を言っているんだ?
その意味が分からないのか。
それともこの場でそんな妙なボケをするのか。
どちらかは分からない。
しかし、亥玄が怪訝な顔で華子を見ていたのは確かであった。

「ありゃ、もしかして話してない感じ?」

「……そうっぽいっすね……。」

こそこそ。
心司と丸雄が小言で話し合う。


閑話休題。


「……それで、尾谷は何が言いたかったんだ?」
本題に戻そうと、亥玄が言う。

「え、えっとねー……。」
はっきりと言うべきか。
思案する心司。

彼が言おうとしている内容。
それは、白辰高校との揉め事についてだ。

向こうとこのままずるずると潰し合いをすべきか。
それとも、新たに黒龍高校の番長を担ぎ、停戦協定を結ぶべきか。
その話しをしたかったのだ。

前者はこのまま放置していれば、可能だ。
しかし、後者は華子の意思がなければ実現の可能などない。

「え、えっと、白高の奴らからちょっかいかけられても無視しろよってことっすよね?」
慌てて丸雄が割って入る。

「それは……まぁ、分かってるが……。」
チラリ。
亥玄が華子を見る。

「ま、まぁあれからは何もないからさ、私は大丈夫だよ!あれから身体鍛えてるから!」
大嘘だ。
襲撃されてしまえば、大丈夫でなければ身体を鍛えてもいない。


「……でも、心配っすよ。」
丸雄が亥玄の言わんとしていることを代弁する。

「前回も、蝶華ちゃんが助けてくれたし……。」

「その件なら本人から聞いたよー、うちの生徒が悪かったって言ってたよー。」
またヘラヘラとしだす。
いつも通りの雰囲気に戻る心司。

「お前……白辰の尾谷蝶華とも知り合いなのか……。」

「え?う、うん。一応……友達だよ。」
照れくさそうに華子が亥玄の質問に答える。

「……。」
彼女の返答に嬉しそうに満足する心司。

「……そうか。」
二人の幸せそうな雰囲気とは真逆。
張り詰めた空気の亥玄が言った。

「流石姐さんっす!黒高だけでなく白高にまで影響力があるなんて凄いっすよ!」
まるで自身のことのように喜び、彼女を褒め称える丸雄。

「それはどういう……。」

「……あ、あー!そろそろ教室に戻った方が良いんじゃない?」

「そ、そそそそそうですね!ほら、藤柴君、鯉崎君、教室に戻ろっ!?」

慌てる心司と華子。
あまりにも露骨なそれは、端から見れば滑稽以外の何物でもなかった。
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